単純X線撮影

 単純X線撮影では、X線管球で発生させたX線を人体に照射し、後方に置いたX線フィルムを感光させて写真を撮影します。生体を通り抜ける(透過する)際のX線透過率は組織によって異なるため、撮影された写真(単純X線写真)は、生体内の構造をX線透過率の差として描き出します。
 最近ではX線フィルムを感光させて写真を撮影する代わりに、組織を透過してきたX線を多数のディテクター(検出器)で検知し、それをコンピュータ処理して画像化するCR(computed radiography)が普及しています。モニターに表示された画像は、濃淡やコントラストを変えたり、拡大したりできるので、検査精度の向上が期待できます。
 単純X線撮影は、胸部や骨の検査としてもっともよく使われますが、部位を問わず、全身のあらゆる組織・臓器の検査が可能です。

(執筆・監修:自治医科大学 教授〔臨床検査医学〕 紺野 啓)