ヘモグロビンA1c

■糖尿病で血糖コントロールの指標
 血糖値は食事の前後で変動し、特に糖尿病患者ではこの変動が大きくなるため、血糖のコントロール状態を1回の採血で判断するのはむずかしいこともあります。
 血液中でグルコースはさまざまなたんぱく質と結合しますが、赤血球中のヘモグロビンも徐々に糖が結合し、グリコヘモグロビン(ヘモグロビンA1c:HbA1c)に変わります。
 その代謝は赤血球寿命(120日)に依存します。血糖値が高いとゆっくりと増加し、血糖値が低くなるとゆっくりと減少するため、採血時点の1~3カ月前の血糖コントロール状態を反映するといわれ、糖尿病コントロールの指標として広く用いられている検査です。赤血球の寿命が変わる貧血では低めの値となり、あたかも糖尿病が軽症であるように間違えてしまいます。

■基準値:4.9~6.0%(NGSP値)

■検査結果から疑われる病気
 高値の場合には、次のことが考えられます。
 糖尿病のコントロール不良、肝炎、慢性膵炎、クッシング症候群(副腎コルチゾール産生腫瘍参照)などのホルモンの病気など

(執筆・監修:国際医療福祉大学大学院 臨床医学 教授〔臨床検査医学〕 下澤 達雄)

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