■副甲状腺機能亢進症で高値
血液のカルシウム濃度はビタミンDや副甲状腺ホルモンなどで一定に保たれています。ビタミンD中毒や副甲状腺機能亢進症では血清カルシウム濃度が高くなり、尿管結石や腎機能低下、便秘などが起こり、極端な高値(15mg/dL以上)は不整脈をきたします。
また、ビタミンD不足(くる病、
骨軟化症)や副甲状腺ホルモン不足で血清カルシウムは低くなり、手足がつる症状(テタニー)がみられます。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)では通常血清カルシウム濃度は正常なため、同じく骨量が減少するビタミンDや副甲状腺の異常を見分けることが治療上必要になります。
■基準値:8.8~10.1mg/dL
■検査結果から疑われる病気
高値の場合には、次のことが考えられます。
原発性副甲状腺機能亢進症、
ビタミンD過剰症、
多発性骨髄腫、悪性腫瘍、
がんの骨転移、
サルコイドーシスなど
低値の場合には、次のことが考えられます。
副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症(
副甲状腺機能低下症参照)、
ビタミンD欠乏症、
骨軟化症、ビタミンD依存症、
慢性腎臓病など
(執筆・監修:国際医療福祉大学大学院 臨床医学 教授〔臨床検査医学〕 下澤 達雄)