慢性腎臓病(CKD)〔まんせいじんぞうびょう(しーけーでぃー)〕
■CKDとは
腎臓疾患は従来さまざまな分類がなされており、簡単には理解はできませんでした。そこで、わかりやすい分類として提唱されてきたのがCKD(chronic kidney disease:慢性腎臓病)という考えかたです。
つまり、慢性腎臓病(CKD)とは疾患名ではなく包括的な意味合いでの言葉です。したがってこのなかには、極言すれば急性に生じる腎障害を除いたすべての腎臓疾患(ネフローゼ症候群やIgA腎症、腎硬化症など)が含まれているといってよいものです。
腎臓病は、糸球体による血液中の血漿成分の1分間あたりの濾過(ろか)量を示すGFR(糸球体濾過量)、いわゆる腎臓のはたらきが障害されることで発症しますが、加齢に伴って腎臓のはたらきは低下するため、一般に高齢者になるほど慢性腎臓病の人が多くなります。リスク因子として高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満やメタボリックシンドローム、家族に腎臓病の人がいる場合があげられます。
[診断]
どのような腎臓病であれ、尿(たんぱく尿とアルブミン尿)、それに血清クレアチニン値をもとに推算したGFR(eGFR:estimated glomerular filtration rate〈推算糸球体濾過量〉)から定義されます。
なお、すべての腎臓疾患は同じであると考えてしまうと大きな誤りです。現時点のCKDという考えかたは、CKDの重症度分類に示すようにeGFRで求められた腎機能障害の程度、原疾患(糖尿病と非糖尿病それにたんぱく尿もしくはアルブミン尿)によって分けられています。
一般的にはeGFRの低下とともにアルブミン尿やたんぱく尿も多くなりますが、eGFRでみる腎機能障害の程度は、たんぱく尿やアルブミン尿と必ずしも平行していないこともあります。eGFRのみが低下し、たんぱく尿やアルブミン尿がみられないこともありますし、逆に、たんぱく尿やアルブミン尿が比較的大量に出ているにもかかわらずeGFRは低下していないこともありえます。
■eGFRとは
eGFRは、糸球体の1分間あたりの濾過量を示すGFR(糸球体濾過量)を血清クレアチニン値と年齢、性別から算出したものです。これはGFRの測定法が煩雑なため、eGFRという推算値を使用しているのです。従来用いられていた血清クレアチニンに代わって腎臓疾患をみていくうえで、現在ではもっとも重要視されています。18歳以上の診断で使用します。
現在、血清クレアチニンと並べてシスタチンCを用いた推算GFRも使われ始めています。利点は性差、加齢の影響が少ないとされています。特に筋肉量が少ない場合にはクレアチンを用いるよりも正確性が増すといわれていますが、一般には血清クレアチニンを用いた推算値が使われています。
■eGFRでは何が評価されるのか
eGFRでは、従来の血清クレアチニン値を用いた腎機能障害の評価とくらべて、年齢や性によって勘案する必要がなく、得られた値だけで腎機能の評価が可能となっています。
たとえば、80歳の男性で血清クレアチニンが1.21mg/dLではeGFRが61.4mL/分/1.73m2ですが、45歳女性で血清クレアチニンが1.05mg/dLでeGFRが60.3mL/分/1.73m2でほぼ等しいeGFRであっても、血清クレアチニンは大きく異なっていることがわかります。すなわち逆にみると、血清クレアチニン値が1.81mg/dLである20歳女性ではeGFRは37.9mL/分/1.73m2ですが、血清クレアチニン値が1.81mg/dLである80歳の女性ではeGFRが28.6mL/分/1.73m2と、大きく異なることになります。
腎臓疾患は従来さまざまな分類がなされており、簡単には理解はできませんでした。そこで、わかりやすい分類として提唱されてきたのがCKD(chronic kidney disease:慢性腎臓病)という考えかたです。
つまり、慢性腎臓病(CKD)とは疾患名ではなく包括的な意味合いでの言葉です。したがってこのなかには、極言すれば急性に生じる腎障害を除いたすべての腎臓疾患(ネフローゼ症候群やIgA腎症、腎硬化症など)が含まれているといってよいものです。
腎臓病は、糸球体による血液中の血漿成分の1分間あたりの濾過(ろか)量を示すGFR(糸球体濾過量)、いわゆる腎臓のはたらきが障害されることで発症しますが、加齢に伴って腎臓のはたらきは低下するため、一般に高齢者になるほど慢性腎臓病の人が多くなります。リスク因子として高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満やメタボリックシンドローム、家族に腎臓病の人がいる場合があげられます。
[診断]
どのような腎臓病であれ、尿(たんぱく尿とアルブミン尿)、それに血清クレアチニン値をもとに推算したGFR(eGFR:estimated glomerular filtration rate〈推算糸球体濾過量〉)から定義されます。
なお、すべての腎臓疾患は同じであると考えてしまうと大きな誤りです。現時点のCKDという考えかたは、CKDの重症度分類に示すようにeGFRで求められた腎機能障害の程度、原疾患(糖尿病と非糖尿病それにたんぱく尿もしくはアルブミン尿)によって分けられています。
一般的にはeGFRの低下とともにアルブミン尿やたんぱく尿も多くなりますが、eGFRでみる腎機能障害の程度は、たんぱく尿やアルブミン尿と必ずしも平行していないこともあります。eGFRのみが低下し、たんぱく尿やアルブミン尿がみられないこともありますし、逆に、たんぱく尿やアルブミン尿が比較的大量に出ているにもかかわらずeGFRは低下していないこともありえます。
原疾患 | たんぱく尿区分 | A1 | A2 | A3 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
糖尿病性腎臓病 | 尿アルブミン定量 (mg/日) 尿アルブミン/Cr比 (mg/gCr) | 正常 | 微量アルブミン尿 | 顕性アルブミン尿 | ||
30未満 | 30~299 | 300以上 | ||||
高血圧性腎硬化症 腎炎 多発性嚢胞腎 移植腎 不明 その他 | 尿たんぱく定量 (g/日) 尿たんぱく/Cr比 (g/gCr) | 正常 | 軽度たんぱく尿 | 高度たんぱく尿 | ||
0.15未満 | 0.15~0.49 | 0.50以上 | ||||
GFR区分 (mL/分/ 1.73m2) | G1 | 正常または高値 | ≧90 | |||
G2 | 正常または軽度低下 | 60~89 | ||||
G3a | 軽度~中等度低下 | 45~59 | ||||
G3b | 中等度~高度低下 | 30~44 | ||||
G4 | 高度低下 | 15~29 | ||||
G5 | 高度低下~末期腎不全 | <15 | ||||
重症度は原疾患・GFR区分・たんぱく尿区分を合わせたステージにより評価する。CKDの重症度は死亡、末期腎不全、CVD(心血管疾患)死亡発症のリスクを緑のステージを基準に、黄、オレンジ、赤の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する。 (KDIGO CKD guideline 2012を日本人用に改変) (日本腎臓学会編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023、東京医学社) |
■eGFRとは
eGFRは、糸球体の1分間あたりの濾過量を示すGFR(糸球体濾過量)を血清クレアチニン値と年齢、性別から算出したものです。これはGFRの測定法が煩雑なため、eGFRという推算値を使用しているのです。従来用いられていた血清クレアチニンに代わって腎臓疾患をみていくうえで、現在ではもっとも重要視されています。18歳以上の診断で使用します。
現在、血清クレアチニンと並べてシスタチンCを用いた推算GFRも使われ始めています。利点は性差、加齢の影響が少ないとされています。特に筋肉量が少ない場合にはクレアチンを用いるよりも正確性が増すといわれていますが、一般には血清クレアチニンを用いた推算値が使われています。
【男性】 eGFR=194×血清クレアチニン[mg/dL]-1.094×年齢[歳]-0.287 【女性】 eGFR=0.739×194×血清クレアチニン[mg/dL]-1.094×年齢[歳]-0.287 |
■eGFRでは何が評価されるのか
eGFRでは、従来の血清クレアチニン値を用いた腎機能障害の評価とくらべて、年齢や性によって勘案する必要がなく、得られた値だけで腎機能の評価が可能となっています。
たとえば、80歳の男性で血清クレアチニンが1.21mg/dLではeGFRが61.4mL/分/1.73m2ですが、45歳女性で血清クレアチニンが1.05mg/dLでeGFRが60.3mL/分/1.73m2でほぼ等しいeGFRであっても、血清クレアチニンは大きく異なっていることがわかります。すなわち逆にみると、血清クレアチニン値が1.81mg/dLである20歳女性ではeGFRは37.9mL/分/1.73m2ですが、血清クレアチニン値が1.81mg/dLである80歳の女性ではeGFRが28.6mL/分/1.73m2と、大きく異なることになります。
(執筆・監修:医療法人財団みさき会 たむら記念病院 院長 鈴木 洋通)