神経系の病気の診察

 神経系の病気の診察には一定の手順があります。

■病歴
・現病歴…症状がどのようにしてはじまり、その後の経過はどのようであるか。
・既往歴…むかしどのような病気にかかったか。
・家族歴…家族に似たような病気の人がいないか。両親の病気、死因など。

■徴候
 内科的徴候(打診、聴診、触診、血圧、体温、脈拍、呼吸、皮膚の色やつやなど)と神経学的徴候があります。神経学的徴候としては次のようなものがあげられます。
・意識…意識障害の有無
・高次脳機能…知能(認知症の有無)
・脳神経系…視力、瞳孔、対光反射、複視の有無、眼球運動、顔面の感覚、咬筋・顔面筋の運動、聴力、嚥下(えんげ)機能、言語、首の筋肉、舌の筋肉などの異常
・運動系…筋力、筋肉のかたさ、腱反射、不随意運動
・感覚系…温痛覚、冷覚、触覚、振動覚、筋の運動覚、関節の位置覚
・小脳系…四肢の運動がスムーズにおこなえるか、歩行、書字
・自律神経系…起立性低血圧、発汗異常、陰萎、膀胱(ぼうこう)・直腸障害などの有無

■検査
 病歴や徴候から病気の概要をつかみ、検査をおこないます。

■診断
 検査結果から病気の正確な診断をおこないます。

■治療
 診断の結果から治療を進めます。
 このような順序で診療が進んでいきます。特に病歴を詳細かつ正確に把握することがなによりも大切です。その意味から、受診されるときには、ご自分の症状を一度整理して、メモしておくと役に立ちます。

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)