精子のふるい分け

 男性の1回の射精で2~3億個の精子が腟(ちつ)内に送り出されますが、早いものでは5分後には子宮腔内を上昇し卵管内に到達します。ただ腟内は強い酸性なので、その半分以上は死んでしまい、受精の場である卵管膨大部に到達するのは200個程度で、受精するのはたった1個だけなのです。一般的には十分な受精能力があるのは射精後3日程度といわれています。
 排卵の時期には、子宮の入り口部である子宮頸管(けいかん)内の粘液は、精子が通過しやすいように粘稠(ねんちゅう)性のものから水分の多いものに変化しているのに加え、精子の運動を助ける成分も含んでおり、精子の子宮腔内での上昇を助けます。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 産婦人科 部長 竹田 善治)