卵巣での排卵のしくみ 家庭の医学

 胎児(女性の場合)のころ、約700万個の卵子をもっていますが、新生児では200万個に減少し、思春期にはさらに20~30万個に減るのですが、思春期以前にはいわば「休眠状態」になっています。思春期になって初潮(初経)のころからホルモンが分泌され、卵子をとりかこむ卵胞(らんぽう)が毎月たくさん発育しますが、1個だけ成熟し、ほかは途中で退化していきます。その成熟した卵胞から卵子が卵巣の外へ飛び出すのが「排卵」です。排卵した卵子はすぐそばの卵管に卵管采(さい)によって取り込まれて卵管内を移送されますが、受精能力は排卵後数時間~24時間といわれます。
 子宮では、卵胞から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の作用によって、子宮内膜細胞が増殖して内膜が厚くなります。そして、排卵後の卵胞が変化した黄体から分泌される黄体ホルモンの作用によって、受精卵の着床に都合のよいように分泌期内膜に変化していきます。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 産婦人科 部長 竹田 善治)