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国内初、脳科学に基づくごま油の香りの効果・効用に関する研究結果を発表

竹本油脂株式会社
ごま油の香りは食欲増進や記憶形成に効果的である可能性を示唆

竹本油脂株式会社(本社:愛知県蒲郡市、代表者:竹本 元泰、以下竹本油脂)、株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹、以下NTTデータ経営研究所)は、脳科学的なアプローチ(※1)に基づいてごま油の香りが食欲や空腹感、記憶などに与える効果を検証する国内初の実験を実施しました。 実験の結果、ごま油の香りが食欲増進効果や、記憶形成を促す効果がある可能性を示唆する結果が得られました。


【実験概要】 
※詳細についてはこちらをご覧ください。
https://prtimes.jp/a/?f=d79799-15-8cbc122cc08227fa802736b5fcf87820.pdf

目的:

ごま油の香りが人間の記憶や食欲、空腹度に与える効果・効用を明らかにすること。本実験での主な検証仮説は以下の通り。



<仮説1>ごま油の香りによって食欲・空腹感が増進する

ごま油の香りは経験的に食欲増進効果を有するとされる。本実験では本効果が実在すると仮定した。



<仮説2>ごま油の香り発生中、その間に生じた事象の記憶の定着が促される

ごま油の香りによって生じる食欲増進以外の効果として仮定した。空腹感が高まることで 視床下部に作用して食欲を増進させる働きを持つ“グレリン”と呼ばれるホルモンが多く放出され、これが脳の海馬(記憶を司る脳部位の一つ)などに作用することで、記憶の定着を促すことが報告されている注1。したがって、ごま油の香りによって食欲・空腹感が増進されることで、グレリンの放出量が増し、結果として記憶の定着が促されると仮定した。なお、本研究では、血中におけるグレリン量の評価は実施せず、結果として生じる記憶の定着量のみを評価した。



対象:20~59歳の男女45名



実験概要:

<仮説1の検証>ごま油、オリーブオイルの香りをそれぞれ実験室に拡散。その前後の参加者の食欲、空腹度の変化を評価した。

<仮説2の検証>参加者3名1組となって会話(雑談)を実施している最中に、ごま油、オリーブオイルの香りをそれぞれ実験室に拡散。その後、各参加者に会話内容を可能な限り多く想起する(思い出す)タスクを実施し、各条件における会話内容の記憶の定着量を評価した。



使用機器・使用尺度等:
WEBアンケートにおいて使用した尺度は以下の通り。参加者の所有するスマートフォンより回答を行った。また、ごま油には竹本油脂の代表的商品である圧搾純正胡麻油を、オリーブオイルは一般的な市販製品を使用した。

表1 取得したデータ項目




図3. 圧搾純正胡麻油


実験における各社の役割:



図1. 実験の流れ


図2. 実験の様子



上:会話実験中の参加者の様子。
中:調理に使用した食材及び器具。調理方法は事前実験の結果を踏まえ、油の香りが空間中に効果的に漂う条件(油の温度、香りの拡散に要する時間等)を採用し、全条件で同様の方法で調理した。
下:データ記録時の様子。

【実験結果】
1.ごま油の香りによって食欲・空腹感が増進する
香り拡散(提示)前後の空腹感の変化量を比較したところ、ごま油群において空腹感が最も増大しており、ごま油の食欲増進効果を支持する可能性を示す結果が得られました。この結果は、ごま油の香りが参加者の食欲(空腹感)を増進することを示しています。

食欲は、人間の食事行動を促進する根本的な欲求の一つであり、人間が生きていくうえで必要不可欠な要素です。近年、空腹感が戦略的意思決定のクオリティ向上(より良いオプションを選択できるようになるなど)に寄与すること注5や、食欲を誘発することで創造性が向上することを示唆する研究も報告されており注6、食欲が単なる‟食事を促す欲求”以上のポジティブな価値をもたらす可能性が示されています。これらの事象の背景にあるメカニズムは未だ不明点が多いものの、空腹時における食欲誘発によって脳全体の代謝が活性化されることが知られていることから注7、同様のメカニズムが関与していると考えられます。脳科学的なメカニズムが今後明らかになることで、食欲・空腹感の増進がもたらすポジティブな効果に関する理解が深まることが期待されます。

図4. 香り発生前後の空腹感の平均変化量

縦軸:空腹度の変化量{(香り発生後の空腹度)- (香り発生前の空腹度)}

2.ごま油の香りが発生中、その間に生じた事象の記憶の定着が促される
香りが漂う空間で他者と一緒に食事を行った後、食事中に他者が話した内容を思い出す“想起実験”の結果を比較したところ、ごま油群において想起される情報の数(=記憶した数)が最も多く、仮説を支持する結果が得られました。この結果は、ごま油の香りが食事中の参加者の発話内容の記憶定着を促した可能性を示しています。

近年報告された研究では、食品の持つ特性が人間の記憶に影響を及ぼすことが示されています。注8

この結果をもたらした要素の一つとして、「グレリン」と呼ばれるホルモンの影響が考えられます。グレリンは空腹時に主に胃から放出され、人間の食欲制御を担う重要なホルモンです。人間は食品を摂取した際に、匂いや見た目などの “手がかり”を関連付けて記憶・学習することが知られており、グレリンは記憶を司る脳部位の一つである海馬に作用することで、この記憶・学習のプロセスに大きく関与していると考えられています注1。

これらの報告を踏まえると、高カロリーを有する油脂類の中でも食欲を増進する香りを有するごま油は、人間の記憶形成により強く影響を及ぼすと考えられます。

図5. 食事後の早期実験における記憶の平均想起数

縦軸:想起した項目数


【参考】
※1 脳科学とは、神経科学、認知科学、心理学等の方法論を用いて、人間の脳およびその機能を研究する学問と定義しています。脳は人間の知覚、認知、意思決定、記憶、感情などの機能を司る中核的な組織であることから、脳科学的アプローチを用いることで、消費者の心理状態や行動などをより深く理解し、消費者ひいては社会にとってより価値のある商品・サービスが提供できるようになると考えられます。

注1 [Hsu, T. M., Suarez, A. N., & Kanoski, S. E. (2016). Ghrelin: A link between memory and ingestive behavior. Physiology & Behavior, 162, 10-17.]
注2 (Grand, S. (1968). Color-word interference: An investigation of the role of vocal conflict and hunger in associative priming. Journal of Experimental Psychology, 77(1), 31-40.)
注3 (都築ら, 簡易な嗅覚評価のための「日常においアンケート」, 日鼻誌(2009))
注4 (Meule, A. (2020). Twenty Years of the Food Cravings Questionnaires: a Comprehensive Review. Current Addiction Reports, 7(1), 30-43.)
注5  [de Ridder, D., Kroese, F., Adriaanse, M., & Evers, C. (2014). Always Gamble on an Empty Stomach: Hunger Is Associated with Advantageous Decision Making. PLoS ONE, 9(10), Article e111081.]
注6  [Ruan, Z., & Liu, N. (2020). Create in the Snack Mountain:appetite stimulus improves creativity. Current Psychology.]
注7  [Wang, G.-J., Volkow, N. D., Telang, F., Jayne, M., Ma, J., Rao, M., Zhu, W., Wong, C. T., Pappas, N. R., Geliebter, A., & Fowler, J. S. (2004). Exposure to appetitive food stimuli markedly activates the human brain. NeuroImage, 21(4), 1790-1797.]
注8  [de Vries, R., Morquecho-Campos, P., de Vet, E., de Rijk, M., Postma, E., de Graaf, K., Engel, B., & Boesveldt, S. (2020). Human spatial memory implicitly prioritizes high-calorie foods. Scientific Reports, 10(1).] この研究では、チョコレートブラウニー、ポテトチップ、リンゴ、チェリーのいずれかの食品が入ったボックスを実験室に複数設置し、被験者にボックスの中身を順に確認させるタスクを実施しました。その結果、高カロリー食品(チョコレートブラウニー、ポテトチップス)が入ったボックスの位置をより正確に記憶できたことが報告されており、高カロリー食品に関する情報はより記憶に残りやすいことが示唆されています。
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