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世界最大の養蜂シンポジウム第48回 国際養蜂会議「APIMONDIA(アピモンディア)2023」で研究発表

株式会社 山田養蜂場
ローヤルゼリーの活性を向上させる女王蜂由来乳酸菌(M1)を世界で初めて発見したことを報告

株式会社山田養蜂場(所在地:岡山県苫田郡鏡野町、代表:山田英生)は、2023年9月4日よりチリ・サンティアゴで開催された第48回 国際養蜂会議(APIMONDIA2023)にて、ローヤルゼリーの研究報告を行いました。発表は自社研究所である山田養蜂場 健康科学研究所 素材研究室 板谷(いたたに) 颯(はやて) 研究員から、ローヤルゼリーの特徴成分10-ヒドロキシ-2-デセン酸(以下「デセン酸」)を10-ヒドロキシデカン酸(以下「デカン酸」)に変換する女王蜂由来乳酸菌(M1)を世界で初めて発見したことを報告いたしました。


国際養蜂会議はアピモンディア※(国際養蜂協会連合/本部:イタリア・ローマ)が主催し、1897年以降、世界各国から集い開催される国際的な養蜂のシンポジウムです。期間中は、養蜂技術やミツバチ産品の健康増進や病気予防などのアピセラピーに関する最新の研究成果を各国の研究者が発表しました。当社は1999年の第36回大会から参加しています。

▽国際養蜂会議の様子

▽発表する板谷研究員


ローヤルゼリーに含まれる主要な脂肪酸はデセン酸、デカン酸です。デカン酸は、腸管パイエル板に存在し、腸管免疫の起点であるM細胞の増加を介して、免疫グロブリンA(IgA抗体)の反応性を有意に増大することが明らかとなっており、免疫賦活の食品成分として期待されています。通常、ローヤルゼリー中に含まれるデカン酸の量は、最も多い脂肪酸であるデセン酸に比べ、1/4ほどの量しか含まれません。デセン酸とデカン酸の構造は類似していることから、ローヤルゼリー中のデセン酸をデカン酸に変換できれば、免疫賦活能を向上させたローヤルゼリーを提供できると考えています。
今回の発表では、デセン酸をデカン酸に変換する女王蜂由来の乳酸菌を世界で初めて発見したこと、及びデカン酸の構成比を高めたローヤルゼリーの生成とその機能について科学的に検証した内容を報告し、座長や聴講者と熱心な討論が行われ、高い評価を得ました。
引き続き、当社はミツバチ産品をはじめとする天然素材の開発・研究を進め、予防医学の観点からアピセラピー※2を追究し、お客様一人ひとりに寄り添い、エビデンスに基づいた商品開発を進めてまいります。

※1:APIMONDIA(アピモンディア)…国際養蜂協会連合(International Federation of Beekeepers‘ Associations)の団体名
「国際養蜂会議」、国際的学術会議「アピメディカ」を主催。
アピモンディア本部URL:https://www.apimondia.org/
第48回国際養蜂会議URL:https://www.apimondia.org/congress-2023.html
※2: ミツバチがもたらす恵みを健康や美容に役立てる健康法

■参考資料
演題:ローヤルゼリー中のデセン酸をデカン酸に変換するミツバチ由来乳酸菌の発見
(英題:Lactic acid bacteria isolated from apis mellifera and their ability to convert trans-10-hydroxy-2-decenoic acid in royal jelly to 10-hydroxydecanoic acid.)

【研究背景と目的】
加齢、冷え、ストレス、不規則な生活などにより免疫力が低下し、風邪をひきやすくなることが知られている。免疫力に関わる細胞の60~70%は腸に存在することから、腸管免疫を高めることで感染症にかかりにくくなる可能性が考えられている。腸管免疫で重要な役割を果たす「M細胞」は、腸で門番として病原体を取り込み、様々な免疫細胞の司令官である樹状細胞に病原体を引き渡す役割を担っている。
腸管免疫において、ローヤルゼリーがM細胞の分化を誘導すること、またその主な活性成分はローヤルゼリー中のデカン酸であることが明らかとなっている。しかし、デカン酸はローヤルゼリー中の含有量が約0.4%と極めて少ない。一方で、デセン酸はローヤルゼリー中に約1.6%含まれており、デカン酸とデセン酸の構造の違いは二重結合の有無のみである。
本研究では、デセン酸の二重結合を切断しデカン酸に変換するミツバチ由来の乳酸菌の探索及び、デカン酸の構成比を高めたローヤルゼリーの生成と、免疫機能に対する評価を試みた。

【研究方法・結果】
1)デセン酸をデカン酸に変換させる乳酸菌の探索

女王蜂やミツバチの腸と蜜胃、蜂の子から微生物を採取し、157株の乳酸菌を選抜しデセン酸含有培地で培養した。それぞれの乳酸菌を播種した培養上清をHPLCで分析し、デセン酸からデカン酸への変換能がある乳酸菌を調べたところ、女王蜂由来菌2株にデカン酸への変換能が確認された。そのうち特に変換能が高いM1株は全てのデセン酸をデカン酸に変換させることが分かった。

2)女王蜂由来乳酸菌M1株の変換能に対する最適条件の検討
M1株がローヤルゼリー中のデセン酸を変換させるための最適条件を検討したところ、酵素処理したローヤルゼリーを用

い、嫌気条件下で処理することで従来よりもデカン酸量を高めた新たなローヤルゼリーを生成することができた。このローヤルゼリーを「発酵ローヤルゼリー」と名付けた。

3)発酵ローヤルゼリーの免疫賦活作用の評価
ヒト上皮様培養細胞を発酵ローヤルゼリーで処理し、M細胞マーカーであるGP2(glycoprotein-2)の発現を測定したところ、発酵ローヤルゼリーは従来のローヤルゼリーと比較してより強いM細胞の分化誘導活性を持つことが示された。

【まとめ】
女王蜂の腸・蜜胃からデセン酸をデカン酸に変換する乳酸菌M1株を発見することができた。さらにM1株の変換時の最適条件を確立し、従来のローヤルゼリーよりもデカン酸含有量が多く、免疫賦活作用を強化した新たなローヤルゼリー(発酵ローヤルゼリー)を生成することに成功した。
今後は、ローヤルゼリー中のデカン酸量を高めた発酵ローヤルゼリーを含む食品の機能性評価が課題である。
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