全ての人が”できる”を楽しめる世界を目指して!自社の素材を有効に活用しながらチームで挑む新たな事業3Dプリンターで作る形状変形可能な自助具「くぅぽの」

「暮らしと技術を結ぶことによって社会に貢献する」を経営理念としてユニチカグループでは、これまで自社の技術を活かした素材や製品を数多く開発してきました。いつの時代もそうであったように、刻々と変化する社会情勢や環境問題の下で、技術によって人々の暮らしに貢献し、豊かな生活を支えていくという想いに変わることはありません。その想いを具現化する新たな事業の1つとして自助具「くぅぽの」がスタートしました。

すべては障害のある方1人1人に合った自助具を作るために。企業の枠を超えて、チームで取り組む新しい事業「くぅぽの」誕生までの軌跡

3Dプリンター用感温性フィラメント「TRF」


事業を立ち上げるきっかけとなったのは3Dプリンター用のフィラメントでした。ユニチカ(株)では熱溶解積層方式の3Dプリンターで使われる「TRF」というフィラメントを生産しており、このフィラメントで造形したものは加温する事で柔らかくなり形を変える事ができるという特長があります。この特長を何かに活かせないかと考えていた時に「TRF」を使って自助具を製作しているFabLab品川さんとお話しをする機会を得ました。


ファブラボ品川さんでは、作業療法士のいるFabLabとして障害のある人の動作を補うための自助具の3Dデータをオープンソースで提供されていました。基本となる3Dデータを取得する事で、3Dプリンターがあればどこででも自助具が作れるようになるという思いから、このような取り組みを行っています。


彼らがそのような取り組みを始めた背景には自助具の需給バランスの変化があると言います。自助具は障害のある人が自分で動作を行う際に補助的な役割を担う大切な道具です。自分で何かをする、できるというのは喜びや楽しさに通じ、生きる活力につながると言われていて多くの人が自助具を求めていますが、使う人によって求められる機能や形が違うので、需要に応じて作業療法士やボランティアの方がハンドメイドで製作するのが一般的です。しかし昨今では作業療法士の労務時間の短縮やボランティアの高齢化や後継者不足により、自分に合った自助具が入手しにくい、同じものが手に入らないといった状況が散見されています。


このような状況を改善するために、もっと手軽に自分に合った自助具を手に入れる手段として、加温で形状を変える事ができる「TRF」を活用した自助具を設計し、オープンソースでの提供を開始しますが、日本国内では3Dプリンターの普及があまり進んでいない事や、扱える人が少ないといった事情から、大きな広がりには至っていないという課題があると伺いました。


そのお話を聞いて、自助具の展開がユニチカの「TRF」を最も有効に活用できる使い方であることと、自社の素材で社会的な課題解決に貢献できるという点に非常に共感を覚え、私たちも何らかの形で参画する事で「TRF」で作った自助具をもっと知ってもらい、本当に必要な人に届けられるのではないかと考えました。


これまで、自助具における企業の参入には高いハードルがありました。それは先にお話しした通り自助具は使う人に合わせる必要があり大量生産、大量販売が難しく採算が合わない事、障害に対する知識が殆ど無いため、どのような商品が求められているかがわからないといった理由があります。ですが、日本をはじめ、世界的に高齢化が進んでいる現在では様々な要因で障害を持つケースも当然ながら増えていくことが予測されます。それに伴い自助具の需要が伸びると現状のハンドメイドでは供給に限界があり、必要な人が入手できない事態が更に拡大するという課題が明確に見えています。

私たちはその課題を解決するために単体の企業としてではなく、同じ志をもつ人達とチームを組んで、新しい商品提供の形を構築するために動き出します。そこから“Teamくぅぽの”の挑戦が始まりました。


事業を立ち上げるには、どんな商品を企画し、それをどのように生産するのか、どこで評価するのか、販売方法、宣伝活動はどうするのかなど、たくさんの課題がありました。


そこで、まずは自助具という存在を世の中にもっと認知してもらうためにブランド展開する事を検討しブランド名を「Kupono/くぅぽの」と名付けました。「Kupono」はハワイ語で“ナチュラル”や“自然体でありのまま”という意味があり、このブランド名には障害のある人が自分らしく生きるお手伝いをするといった思いと、自助具が持つ少し硬いイメージを和らげて、馴染みやすいものにしたいという思いが込められているのです。


「くぅぽの」カトラリーホルダー3タイプ


次に商品の企画と3D設計を「くぅぽの」事業を始めるきっかけとなった作業療法士さんにお願いしました。私たちが単に思い付きで商品を企画するのではなく、現場を熟知した方だからこそ、使う人にとって安全で使いやすい商品が生まれると考えたからです。そして使う人の症状に合わせて選べる3つの基本モデルが企画され商品化されました。


事業を行う上で肝心な「生産」のパートは障害のある人の就労を支援する「Good Job! センター香芝」さんにお願いする事にしました。同センターでは「障害のある人とともに、アート・デザイン・ビジネスの分野をこえ、社会に新しい仕事をつくりだすことをめざす」を理念として、デジタル機器と優れた手仕事の融合で、常に新しい事にチャレンジしています。実際の生産や品質管理に対しても非常に丁寧な仕事をしてくれるので安心して任せています。このスキームによって、「くぅぽの」を使う人が増えれば増えるほど「仕事」と「対価」の部分で就労支援につながるという仕組みが作れた事も大きなポイントだと思っています。


本事業の核となる3Dプリンタ―用感温性フィラメントはユニチカ㈱が長年培ってきたポリエステルの技術によって作られています。自助具に求められる「使う人に合っている」を実現するのに最も適した素材でした。

「くぅぽの」の広報活動と実際の販売はユニチカトレーディング㈱で担っています。自社ECサイトでの販売や自助具「くぅぽの」を広く知って頂くためにさまざまな媒体を介して取組みを発信しています。また、リハビリテーションセンターや福祉施設を訪問し、実際に使って頂きながら商品の改良、NPO法人やボランティアとの交流を深め、お互いの良い点を共有し活動の輪を広げる取組も行っています。

リユース・リサイクル時代のその先へ。新しいモノづくりと環境に配慮した供給のカタチを目指す


3Dプリンターを活用したものづくりは、まだ一般には広まっていませんが、金型を使った樹脂成型品のように「大量に作らないとコストが合わない」といった事がなく、1つからでも製作できるという利点があります。自助具のようにある程度限定された需要に対応する上では、非常に有効な生産方法だと思います。


樹脂製品は、ひと昔前の大量に作って余ったら廃棄する時代から、リユース・リサイクルする時代へと変わってきていますが、もう1歩進んで、本当に必要なものを、必要な分だけ作って供給するという新しい生産の仕組みも発信できたら嬉しいですね。

障害のある人もそうでない人も社会活動に積極的に参加できるように。自助具「くぅぽの」を通じて伝えたい想いと私たちの価値


「くぅぽの」の事業モデルのように、社会福祉に携わる方たちとチームを組んで事業を構築する事が、本当の意味で「社会に貢献する」ことだと私たちは考えています。「くぅぽの」を通じて障害のある人に“自分でできる楽しさ”を届ける事 “仲間と仕事をする楽しさ”を届ける事、そして障害のある人もそうでない人も同じように社会活動に積極的に参加できるようになる事がこの事業の最大の目標です。事業として生まれたばかりで、まだやらなければならない事がたくさんありますが、目標に向かってチーム一丸となってこれからも活動を続けていきます。これからの時代、企業の本質である利益追求だけでなく、そのような目標にチャレンジする企業であることこそが、社会にとって価値のある企業としてこれからも期待されると確信しています。


また、感温性フィラメント「TRF」は他にもさまざまな用途に活用できる可能性を秘めています。

今後は「TRF」の特長を活かした商品開発や事業構築に一緒に取組むパートナーを広く探索して、材料と造形品の両面での供給を行う事で社会に貢献できる企業を目指します!




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