表皮培養細胞を用いて化粧品の刺激性を予測する代替法の開発に成功
タカラベルモント株式会社
~低刺激性製品の開発へ応用 日本動物実験代替法学会第36回大会にて発表~
タカラベルモント株式会社(本社: 大阪市中央区、代表取締役会長兼社長:吉川 秀隆)は、これまでヒトパッチテストでしか予想できなかったシャンプーの刺激性を、表皮培養細胞を用いてより迅速かつ数値化して評価できる代替法の開発に成功しました。なお、今回の研究及び開発の成果は、日本動物実験代替法学会第36回大会(2023年11月27日~29日)のポスターセッションにて発表しました。
【要点】
■皮膚を構成するケラチノサイトに対する刺激性から、ヒトパッチテストの結果が予測可能に
■シャンプーの主成分である界面活性剤、およびシャンプー製剤の定量的な刺激性評価を可能にした
■より安全な成分を見つけ出し、低刺激なシャンプーの開発への繋がる事が期待される
【研究詳細】
≪背景≫
化粧品の開発における安全性評価の一つに皮膚一次刺激性試験が挙げられますが、近年では再構築皮膚モデル等を用いて動物を使用しない試験法(以下、代替法と記載)の開発がなされています。代替法による皮膚一次刺激性試験については国際的に標準化された手法(OECD TG439など)が存在しますが、『弱い刺激性を予測できない』『製剤での効果を評価できない』などの課題もあります。また、化粧品の市場においては、『嗜好性の変化に伴う開発サイクルの短縮』が課題となり、迅速かつ正確な代替法による評価が求められています。
≪評価方法≫
皮膚を構築する細胞であるケラチノサイトに着目し、界面活性剤およびシャンプー製剤が、ケラチノサイトの50%の活動を阻害する濃度(以下、IC50と記載)を自社で開発に成功した代替法により算出することで、界面活性剤およびシャンプー製剤のリスクを3つの評価でIC50の比較をします。IC50が高いほど皮膚一次刺激性のリスクが低く、安全性が高いと評価することができます。
1. 原料レベル(界面活性剤)での評価
アニオン性界面活性剤7品、両性界面活性剤3品を対象に、それぞれのIC50を算出しました(図1)。
一般的に皮膚一次刺激性のリスクが高いアニオン性界面活性剤であるラウリル硫酸NaのIC50は低くなり、皮膚一次刺激性のリスクが低くベビーシャンプー等にも使われる両性界面活性剤であるココアンホ酢酸Naやアミノ酸系のアニオン性界面活性剤であるカプロイルメチルタウリンNaのIC50は高くなる結果を得ました。この結果から、界面活性剤の持つリスクを定量的に評価できる事が示唆されました。
2. 製品(シャンプー)での評価
一般的なシャンプー製剤の処方骨格をベースとした開発品(PIS-07SP~07S)の内、ラウリル硫酸Naの配合濃度のみを9.9%~3.9%まで2%ずつ変動させてシャンプー製剤としてのIC50を算出しました(図2)。
シャンプー製剤のIC50は配合したラウリル硫酸Naの量と比例関係を示し、IC50による皮膚一次刺激性のリスク評価が可能であることを示しました。
3. 製品(シャンプー)のIC50とヒトパッチテストとの評価(図3)
シャンプー製剤の試験品A~Pを対象にIC50を算出し、別途実施したヒトパッチテストの結果と比較(図3)しました。試験品Iが許容品となり、それを下回るIC50の試験品で強い刺激性が高頻度に現れたことから、IC50が0.1756を下回る製剤では皮膚一次刺激性が現れるリスクが高いことが明らかになりました。
今後は本研究成果を基に、より安全性の高い成分からなる低リスク製品の開発に役立てていきます。
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~低刺激性製品の開発へ応用 日本動物実験代替法学会第36回大会にて発表~
タカラベルモント株式会社(本社: 大阪市中央区、代表取締役会長兼社長:吉川 秀隆)は、これまでヒトパッチテストでしか予想できなかったシャンプーの刺激性を、表皮培養細胞を用いてより迅速かつ数値化して評価できる代替法の開発に成功しました。なお、今回の研究及び開発の成果は、日本動物実験代替法学会第36回大会(2023年11月27日~29日)のポスターセッションにて発表しました。
【要点】
■皮膚を構成するケラチノサイトに対する刺激性から、ヒトパッチテストの結果が予測可能に
■シャンプーの主成分である界面活性剤、およびシャンプー製剤の定量的な刺激性評価を可能にした
■より安全な成分を見つけ出し、低刺激なシャンプーの開発への繋がる事が期待される
【研究詳細】
≪背景≫
化粧品の開発における安全性評価の一つに皮膚一次刺激性試験が挙げられますが、近年では再構築皮膚モデル等を用いて動物を使用しない試験法(以下、代替法と記載)の開発がなされています。代替法による皮膚一次刺激性試験については国際的に標準化された手法(OECD TG439など)が存在しますが、『弱い刺激性を予測できない』『製剤での効果を評価できない』などの課題もあります。また、化粧品の市場においては、『嗜好性の変化に伴う開発サイクルの短縮』が課題となり、迅速かつ正確な代替法による評価が求められています。
≪評価方法≫
皮膚を構築する細胞であるケラチノサイトに着目し、界面活性剤およびシャンプー製剤が、ケラチノサイトの50%の活動を阻害する濃度(以下、IC50と記載)を自社で開発に成功した代替法により算出することで、界面活性剤およびシャンプー製剤のリスクを3つの評価でIC50の比較をします。IC50が高いほど皮膚一次刺激性のリスクが低く、安全性が高いと評価することができます。
1. 原料レベル(界面活性剤)での評価
アニオン性界面活性剤7品、両性界面活性剤3品を対象に、それぞれのIC50を算出しました(図1)。
一般的に皮膚一次刺激性のリスクが高いアニオン性界面活性剤であるラウリル硫酸NaのIC50は低くなり、皮膚一次刺激性のリスクが低くベビーシャンプー等にも使われる両性界面活性剤であるココアンホ酢酸Naやアミノ酸系のアニオン性界面活性剤であるカプロイルメチルタウリンNaのIC50は高くなる結果を得ました。この結果から、界面活性剤の持つリスクを定量的に評価できる事が示唆されました。
2. 製品(シャンプー)での評価
一般的なシャンプー製剤の処方骨格をベースとした開発品(PIS-07SP~07S)の内、ラウリル硫酸Naの配合濃度のみを9.9%~3.9%まで2%ずつ変動させてシャンプー製剤としてのIC50を算出しました(図2)。
シャンプー製剤のIC50は配合したラウリル硫酸Naの量と比例関係を示し、IC50による皮膚一次刺激性のリスク評価が可能であることを示しました。
3. 製品(シャンプー)のIC50とヒトパッチテストとの評価(図3)
シャンプー製剤の試験品A~Pを対象にIC50を算出し、別途実施したヒトパッチテストの結果と比較(図3)しました。試験品Iが許容品となり、それを下回るIC50の試験品で強い刺激性が高頻度に現れたことから、IC50が0.1756を下回る製剤では皮膚一次刺激性が現れるリスクが高いことが明らかになりました。
今後は本研究成果を基に、より安全性の高い成分からなる低リスク製品の開発に役立てていきます。
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(2023/12/21 10:00)
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