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水産加工会社が九州産業大学造形短期大学部の学生たちと商品開発金属探知機を通せる「アルミホイルを使わない包み焼き」

一般社団法人社会福祉支援協会
~産学連携の経緯や商品への思いを伝える動画・ニュースレターを発行~

一般社団法人社会福祉支援協会の属する、学びから仕事や住まいまで一貫した障がい者支援を行う株式会社B.Continueのグループ会社である株式会社福岡丸福水産(本社:福岡県福岡市東区箱崎ふ頭6-10-7、代表取締役:島野廣紀 しまの・ひろのり、以下「同社」)は、九州産業大学造形短期大学部(以下「同大学」)との産学連携プロジェクトとして、2022年6月から「アルミホイルを使わない包み焼き商品」の開発に取り組んできました。


同社では以前はアルミホイルによる包み焼き商品を製造していましたが、安全確認のため出荷前に金属探知機を通すことが必要になり、包み焼き商品が製造できなくなりました。包み焼き商品は手軽に「出来立て」を味わえるためその後も一定の需要があったものの、代替素材での形状保持や調理上の安全性等を実現することが難しく、開発には至りませんでした。そんな中、同大学との産学連携プロジェクトの取り組みが決まり、包み焼き商品の開発がスタートしました。調理皿の素材や形状の検討を繰り返し、完成した包装部分は特許申請中です。現在、その包装に合わせたメニュー開発が進んでおり、2024年4月頃に発売予定です。発売後の商品製造は同社で働く障がいのある方が担当するため、今回の商品開発は消費者へおいしいものが届くだけでなく、就労支援の拡大にも繋がっています。
この産学連携プロジェクトを紹介する動画と、各担当者や学生たちがこのプロジェクトに込める思いなどを伝えるニュースレターを添付しております。そちらもぜひご覧ください。


◆産学連携の背景・仕組み
九州産業大学・九州産業大学造形短期大学部は、2021年8月に遠賀信用金庫との包括連携協定を締結しています。同社は遠賀信用金庫と取引があり、日々の課題や状況を共有する中で、課題解決の一つの方法として、遠賀信用金庫から産学連携の提案を受けました。ただ自社内の課題を解決するだけでなく、それが地域の人材育成にも繋がる点に魅力を感じ、商品開発の依頼をする運びとなりました。同社へのヒアリングをもとに同大学から森下先生をご紹介頂き、プロジェクトがスタートしています。

◆プロジェクトの目的 新商品の開発が、就労支援や人材育成に繋がる
同社がアルミホイルによる包み焼き商品の製造・販売ができなくなってから、包み焼き商品は一定の需要があるため素材変更を検討したことはあるものの、アルミホイルのように簡単に形状保持できる方法が見つからず商品化には至りませんでした。このプロジェクトによって新商品が発売できれば、今後のメニュー開発のバリエーションが増え、売上増加が見込めます。
 また、同社は、グループ内の就労継続支援A型事業所と連携して運営しています。今回開発される商品の製造は、同社で働く障がいのある方が担当します。新商品を発売できれば工場内で新たな仕事が生まれ、売上が上がればさらなる雇用に繋がります。
 同大学としては、新商品の開発に参加することで、研究者は自身の研究を社会に実装することができ、また学生は机上の課題とは趣旨の異なる実践的な経験によって在学中の学びの幅を広げることができます。
 このように、今回の商品開発は、「企業の課題解決・就労支援の拡大」「大学の実績・学びの場の創出」をした上で、「消費者へ便利でおいしいものが届く」という、経済性と社会性を内包したプロジェクトです。
 




◆今回のプロジェクトを紹介する動画


プロジェクトの詳細や、同社と担当教授・学生たちのデザイン検討の様子などを紹介する動画を制作しました。右のQRコードからぜひご覧ください。

※同社の担当者や担当教授の思いについては、添付のニュースレターをご覧ください。


◆大学概要
・大学名:九州産業大学造形短期大学部
・所在地:〒813-0004 福岡県福岡市東区松香台2丁目3番1号
・HP:https://www.zokei.kyusan-u.ac.jp/
・九州産業大学 産学連携支援室Tel:092-673-5501
・九州産業大学 産学連携支援室Mail:sangaku@ml.kyusan-u.ac.jp
・九州産業大学 産学連携HP:https://www.kyusan-u.ac.jp/research/


◆会社概要
・社名:株式会社B.Continue
・代表取締役:島野 廣紀
・所在地:福岡市博多区博多駅前2丁目17-25 博多クリエイトビル5F
・電話番号:092-473-6231
・設立:2010年11月4日
・社員数:14名
・事業内容:社会福祉事業/代理請求・複合機販売(営業/保守/消耗品販売)・インターネット回線販売・固定電話/携帯電話販売/その他/工事・ネットワーク環境構築の企画提案業務・冷凍食品惣菜の製造及び販売
・HP:https://b-continue.co.jp/
産学連携プロジェクトの経緯や開発した商品への思い、学生も含めたプロジェクトの様子、商品発売後に目指すビジョン等について、福岡丸福水産担当者・小川 俊彦と、九州産業大学造形短期大学部担当教員・森下 慎也に聞きました。



N E W S L E T T E R
産学連携プロジェクトの経緯や開発した商品への思い、学生も含めたプロジェクトの様子、商品発売後に目指すビジョン等について、福岡丸福水産担当者・小川 俊彦と、九州産業大学造形短期大学部担当教員・森下 慎也に聞きました。



 
今回の産学連携プロジェクトのお話をいただいた時、初めての取り組みで、どういう風に進んでいくのか手探りの状態でした。でも、一定の需要がありながらずっと手が回らず商品化できていなかった「金属探知機を通せる包み焼き」の開発が決まり、実際に大学側と打ち合わせが始まると、私たちでは思いもつかないような方法、アイデアを形にしてくださいました。一枚の紙をただ「折る」ことで包装容器へと組み上げる型は、特許出願中で取得の見通し、という段階です。何度も試作を重ねられた結果だと聞いていますし、学生さんにもご協力いただいて、たくさんのアイデア・目線が取り入れられた商品になっていると思います。また、当初は業務用一種類の予定でしたが、一般販売も見据えた家庭用と二種類をご考案いただきました。ただ「デザインを提供してもらう」ということではなく、打ち合わせを重ねることで内容が発展していき、販売の幅を広げることができそうです。
 

福岡丸福水産は、2021年6月にM&AによってB.Continueの一グループとなりました。それ以降、同じグループ内の就労継続支援A型事業所と連携することで工場に人手が増えて活気が生まれ、新しい商品の製造も可能になっています。包み焼きは他の商品よりも製造工程に人手が必要なので、M&A前だったら今回の産学連携プロジェクトにも取り組めなかったと思います。さまざまなタイミングとご縁が重なって生まれた商品だと言えるので、大切に完成まで持っていきたいですね。これからは私たちが力を発揮するメニュー開発が本格化します。試作段階ではありますが、「冷凍食品ならこのくらい」ではない、「おいしい!」ものができそうです。創業40年、素材である魚の質にこだわっていることはもちろん、私たちは調味も自分たちの手で行い、納得する味を作っています。ぜひ発売を楽しみにお待ちいただけたらと思います。


先ほどお話しした通り、私たちの工場では障がいのある方々が働いています。今回のように新商品が開発できれば、当然ながら新しい仕事が生まれますし、売上が上がれば新しい雇用にも繋がります。彼らは本当に頼りになる仲間なので、そういったメンバーへ提供できる仕事が増える、さらにその輪を広げていけるという点でも、今後も商品開発には力を入れていきたいですね。今回のプロジェクトでは、企業としては当たり前の商品開発が、大学内での学びの場としてお役に立てたということも嬉しく思っています。今までは商品を開発する時には、お客様や外注先企業のことを考えるという視点しかありませんでしたが、今回の経験によって私の視野も広がりました。これまで通り「お客様へおいしいものをお届けする」「雇用の輪を広げる」ことをベースにしながら、企業としてさらにどんな価値を生んでいけるのか、視野を広げ続けていきたいと思います。



本学の産学連携支援室から「金属探知機を通せる包み焼き」の開発に取り組んでみませんかというお話をいただいた時、課題解決の方針が立てやすく、世の中への貢献度も明確ないいプロジェクトだと感じ、二つ返事でお受けすることを決めました。実際にスタートして具体的なヒアリングを進めていくと、最初に当たりをつけた通り「クッキングシート+形状を保つための容器」というアプローチがいいだろうという方針が固まりました。解決すべき課題が明確だったためここまではとても短期間でご提案したのですが、その後の調整はかなり細かく、シビアに進めています。形状が保持できる機能性はもちろん、容器の型紙自体の生産性、工場での組み上げを想定した操作性、調理における安全性、そしておいしそうに見えるデザイン性などさまざまな視点をクリアできるように改善を重ねてきました。ベースのアイデアが固まってからは学生たちにも加わってもらって、実際に調理も行いながら試作を重ねました。学生たちにも参加してもらったのには、二つ目的がありました。

一つ目は、私の独りよがりにならない「多角的な目線」を取り入れるため。二つ目は、学生に「ソフト上での制作や教師一人の評価にとどまらない、実際の商品開発」を体験し学びに繋げてもらうためです。何度も試作を作り込む経験は学生たちにとって初めての経験でしたし、工場見学で就労支援の方々が働く姿を見て、「誰かにフォローされているのではなく、ご自身の能力を生かしてプロフェッショナルに働かれているんだ」と、「障がい者雇用」という一つのイメージが大きく変わったようです。「使われる現場」に関して、普段の課題では説明はできても体験することは難しいですから、そういった点でも学びがあったのではないでしょうか。


学生メインではなく、私と「共同で参加」というかたちをとったのにも理由があります。「教師はスケジュール管理をして、デザインやプレゼンは学生に任せる」という進め方も一つかもしれませんが、私個人の信条として、「傍観者にはならない」という思いがあります。プロジェクトの当事者として、自分の頭と手を動かすこと。教壇に立ってただ「指示する側の人」になるのではなく、デザインを楽しみ学び続ける姿を学生たちにも見せていきたいという思いがあって、このような進め方をしています。
また、最近は産学連携プロジェクトの事例も増えていて、単に「学生が商品開発に関わる」ことが主な価値だった段階は過ぎたと思っています。プロジェクトとして提案の精度をいかに上げていくか。そのために、固定概念の少ない学生たちのアイデアを生かせるようにするのが、私たち担当教員の腕の見せ所です。その上で、生きた体験を学生たちが得られる場にしていく。「課題を与えられないと答えられない」というのでは意味がないと考えているので、こういった産学連携プロジェクトを通して、今ある課題を能動的に見つけ出し、多角的な目線を取り入れた上でその解決方法を導き出す、という力を身につけていってもらいたいですね。そして、その筆頭者として、私自身が全力で楽しみ、学び続けていきたいと思っています。
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