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秋の花粉の本格飛散前に知っておきたい!<季節性アレルギー性結膜炎患者さんの「かゆみ」に関する実態調査>

参天製薬株式会社
花粉にさらされやすい日中以外にも、5割以上のSAC患者さんが「起床時」や「就寝前」にかゆみを実感

参天製薬株式会社(本社:大阪市、以下Santen)は、季節性アレルギー性結膜炎(以下seasonal allergic conjunctivitis: SAC)患者さんの、眼のかゆみやまぶたの症状、治療における現状・課題について理解を深めるため、2023年3月31日~2023年4月7日に、SAC患者さん1,050人を対象とした実態調査を医療従事者とともに実施しましたので、その結果をお知らせします¹,²。

アレルギー性結膜炎は、眼の表面に花粉やハウスダストなどのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、結膜に炎症を起こす疾患です。花粉などが原因の、特定の季節にのみ症状があらわれるものをSACといい、一年中症状がみられるものは、通年性アレルギー性結膜炎といいます。アレルゲンは人により異なります。春のスギやヒノキから出る花粉が有名ですが、実は夏にはイネ科の植物、秋にもブタクサやヨモギなどから出る花粉があり、眼のかゆみ、充血などの症状を引き起こし、症状が強い場合にはQuality of Life (生活の質:QOL)を損なうこともあります。2017 年の日本眼科アレルギー研究会(現、日本眼科アレルギー学会)が実施した有病率調査によると、国内のアレルギー性結膜疾患の有病率は 48.7%であり、有病率は近年増加しています。日本におけるSACは世界の中でも非常に高い数値を示しており³、SAC患者さんは今や日本の人口の35~40%⁴と推定されています。

主な調査結果は以下のとおりです。今回の調査では、SAC患者さんがかゆみを感じる部位が明らかになり、また、日常生活の様々な場面において、眼や眼の周りに不具合を感じていることが分かりました。

調査結果サマリー】
1. 約7割のSAC患者さんは、眼の中の部位で、かゆみを感じやすい部位とこすりやすい部位について「目頭」と回答
2. 花粉にさらされやすい日中以外にも、5割以上のSAC患者さんが「起床時」や「就寝前」にかゆみを実感し、また、睡眠、起床時に関する困りごととして「起床時の眼のかゆみ」が約8割 (『非常に当てはまる』と『やや当てはまる』の合計)
3. 眼の中のかゆみ以外にも、まぶたなどにかゆみや赤みの症状がある患者さんは、そうでない患者さんよりも、かゆみなどの程度や頻度が高く、QOLの合計スコアも有意に高かった


【調査結果】
1. 約7割のSAC患者さんは、眼の中の部位で、かゆみを感じやすい部位とこすりやすい部位について
  「目頭」と回答

◆図1 SAC患者がかゆいと感じる部位(n=1,050)※複数回答可



眼の中の部位で、患者さんが「かゆいと感じる部位」については、71.2%が「目頭」と回答し、次いで多かったのが、「まぶたのふち」の51.8%、「まぶたの裏側」が41.7%でした。

◆図2 SAC患者さんがこすりやすい部位(n=1,050)※複数回答可



眼の中の部位で、患者さんが「こすりやすい部位」については、68.9%が「目頭」と回答し、次いで多かったのが、「まぶたのふち」の44.0%、「目尻」が26.9%でした。

2. 花粉にさらされやすい日中以外にも、5割以上の患者さんが「起床時」や「就寝前」にかゆみを実  
   感、また、睡眠、起床時に関する困りごととして「起床時の眼のかゆみ」が約8割 (『非常に当て
  はまる』と『やや当てはまる』の合計)

◆図3 SAC患者さんがかゆみを感じる時間帯 (n=1,050) ※複数回答可



かゆみを感じる時間帯を質問したところ、起床時(朝起きてすぐ)と回答した割合が55.9%でした。次いで多かった時間帯としては、午後の時間帯(学校・仕事など)と回答した割合が54.4% であり、就寝前と回答した割合が51.3%でした。

◆図4 SAC患者における睡眠、起床時に関する困りごと (n=1,050)



症状(花粉症による眼のかゆみ)によって起こる睡眠、起床時に関する困りごとに関する質問では、「非常に当てはまる」、「やや当てはまる」と回答した割合がもっとも多かった項目としては、「起床時の眼搔痒感(80.5%)」、次いで「睡眠の質の悪さと疲労感(55.6%)」でした。また、かゆみによって中途覚醒(43.2%)や早期覚醒(39.5%)など、睡眠からの覚醒に影響が出ていると感じる患者さんがいることも分かりました。

3. 眼の中のかゆみ以外にも、まぶたなどにかゆみや赤みの症状がある患者さんは症状のない患者さん
   よりも、かゆみなどの程度や頻度が高く、QOLの合計スコアが有意に高かった

 ◆図5 眼瞼皮膚の症状の有無と目のかゆみの頻度



1日の中で眼のかゆみを感じた回数を質問したところ、「眼瞼皮膚にかゆみや赤み、腫れ」といった症状のある258人の患者さんのうち「6回以上かゆみを感じる」と回答した患者さんが約3割という結果でした。その内、12%の患者さんが「数えきれないくらいかゆみを感じる」と回答しました。

◆図6 眼瞼皮膚の症状の有無と症状・QOLへの影響 (n=1,050)



SAC患者さん1,050人に眼のかゆみの程度とQOLを質問したところ、まぶたに症状を有する患者さんは、かゆみなどの程度が高く、QOL の合計スコアも有意に高い結果でした。
具体的には、アレルギー性結膜疾患QOL調査票(Japanese Allergic Conjunctival Disease Standard QOL Questionnaire: JACQLQ)を用いて、1.鼻・眼の症状、2.鼻・眼の症状による生活への支障(17項目)、3.人の顔の表情によって評価するフェイススケールにて症状や生活や気持ちを含む患者さんの状態を調査しました。かゆみや自覚症状については、スコアが大きいほど患者さんが強く症状を感じていることを示し、QOLとフェイススケールについては、スコアが大きいほど患者さんが不具合を感じていることを示しています。

※眼・鼻の症状(眼のかゆみ、自覚症状)の程度については、「症状なし」:0点、「軽い」:1点、「やや重い」:2点、「重い」:3点、「非常に重い」:4点で評価し、それぞれの症状別のスコアの平均値を算出した。17項目のQOLについては、「なし」:0点,「軽い」:1点、「ややひどい」:2点、「ひどい」:3点、「とてもひどい」:4点で評価した。また眼のかゆみ、眼の異物感、眼の充血、なみだ目及び目やにの合計スコアを眼の自覚症状のスコアとして平均値を算出した。フェイススケールについては、シーズン中を通じ、症状・生活・気持ちを含めた総括的状態を、「晴ればれ」:0点~「泣きたい」:4点の5段階で評価した。すべての項目について各群のスコアの平均値を算出した。
*「眼瞼皮膚に症状なし」の患者に対して,「眼瞼皮膚にかゆみや赤み」の患者と「眼瞼皮膚にかゆみや赤み,腫れ」の患者のJACQLQ の各スコアをGames-Howell post-hoc test で検定した
#「眼瞼皮膚にかゆみや赤み」の患者と「眼瞼皮膚にかゆみや赤み,腫れ」の患者のJACQLQ の各スコアをGames-Howell post-hoc test で検定した


【本調査結果に関する専門家からのコメント】





順天堂大学医学部附属浦安病院 眼科教授
日本眼科アレルギー学会理事長 海老原伸行先生



本調査において、SAC患者さんのかゆみの実態として、「目頭」にかゆみを感じやすく、また、こすりやすい部位であることが明らかになりました。また、就寝前や睡眠中などにもかゆみを感じる患者さんが多いことが分かり、日中だけでなく一日を通じて積極的な対策が重要であると言えます。加えて、まぶたに症状のある患者さんは、かゆみなどの程度や頻度がともに高く、QOLにも影響していることが分かりました。患者さんへの治療の満足度向上のためには、医師が診察時に患者さんの眼の中とまぶた双方の症状について把握し、適切に対処することが重要です。
SAC治療においては、セルフケアや初期療法などもありますが、現時点では点眼療法が基本です。症状を抑制するためには、結膜中の薬物濃度を維持することが重要であり、治療期間中は、かゆみの有無にかかわらず、薬剤の用法・用量を守った継続的な治療を推奨しています。一方で、アドヒアランス(患者さんが積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること)が不十分なため症状が治まらない患者さんや、なかには、かゆみを感じた際に眼をこする物理的刺激もかゆみの増悪因子(病状や症状をさらに悪くさせる要因や原因)となるため5、症状が悪化してしまう患者さんもいます。従って、今後は、治療期間中は、症状の有無にかかわらず、患者さんが一日の中で決められたタイミングに点眼する習慣づけを促す服薬指導とともに、眼の中で一定の薬物濃度を維持できる薬剤が求められます。

【概要】
調査対象 :眼科で季節性アレルギー性結膜炎と診断され、眼のかゆみの症状を訴え、抗ヒスタミン点  
      眼薬を処方された患者さん
調査対象数:1,050例(年齢:54.4±11.8歳 男女比:男性30%、女性 70%)
調査方法 :Web調査
調査期間 :2023年3月31日~2023年4月7日

<参考文献>
1. 海老原伸行, 他; 季節性アレルギー性結膜炎患者における眼瞼皮膚に対する治療実態. アレルギー
   の臨床; 44(3), 218-228, 2024.
2. 深川和己, 他; 季節性アレルギー性結膜炎患者におけるWebアンケートを用いた眼のかゆみの実
   態調査. アレルギーの臨床; 43(13), 1034-1046, 2023.
3. 日本眼科アレルギー学会診療ガイドライン作成委員会:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン
   (第3 版)日眼会誌. 125(8): 741-785, 2021
4. 岡本茂樹 他:日本眼科学会雑誌, 126(7), 625(2022)
5. B Raizman MB. et al. Ophthalmology, 107, 2158 2000


Santenについて
Santenは、眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、世界中の患者さんや生活者、医療関係者の皆さまへの価値ある製品やサービスの提供を通じ、人々の「Happiness with Vision」の実現に貢献することを目指しています。創業以来、「天機に参与する」という基本理念の下、130年以上にわたり人々の目の健康維持・増進を追求してきました。現在、眼科領域における医薬品の研究開発、製造、販売・マーケティング活動をグローバルに展開し、世界60以上の国・地域で約5,000万人の人々の目の健康をサポートしています。私たちのミッションは、眼科領域における専門性と患者さん視点から創出される製品やサービスを通じて、目の病気の予防や診断、治療において今まで提供されていない重要な価値を患者さんや社会に提供し続けることです。一人でも多くの患者さんが幸せで豊かな人生を過ごすことができる未来を創り出すため、世界中の人々が「見る」を通じた幸せを実感できる社会の実現に向けて全力を尽くしています。
詳細については、当社ホームページhttps://www.santen.com/jaをご参照ください。


参考
【出典】
福島敦樹, 他; 季節性アレルギー性結膜炎患者におけるWebアンケートを用いた抗ヒスタミン点眼薬の使用実態と点眼薬へ期待する効果に関する調査. アレルギーの臨床; 44(4), 284-293, 2024.

【概要】
調査対象 :眼科で季節性アレルギー性結膜炎と診断され、眼のかゆみの症状を訴え、抗ヒスタミン点眼薬を処方された患者さん
調査対象数:1,050例(年齢:54.4±11.8歳 男女比:男性30%、女性 70%)
調査方法 :Web調査
調査期間 :2023年3月31日~2023年4月7日

抗ヒスタミン点眼薬に期待する効果(n=1,050)



抗ヒスタミン点眼薬を点眼する時に感じる困りごと(n=1,050)



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