ヒト幹細胞培養液のエクソソームをロスなく化粧品にしたい。富士フイルム和光純薬の測定技術で可能になった化粧品原料の開発

現在最も注目を集める化粧品素材の一つがヒト幹細胞培養液です。特にヒト幹細胞培養液に含まれるエクソソームという成分が話題になっています。エクソソームとは細胞が作る小さなカプセルのようなもので、細胞と細胞の間で情報伝達に使われ、医学や美容分野で盛んに研究されています。


アンチエイジング株式会社は、創業 10 周年を迎えたヒト幹細胞培養液の化粧品原料を専門に扱う原料メーカーで、いち早くエクソソームの機能性に注目してきました。日本で最も早くヒト幹細胞培養液を化粧品原料として供給してきた同社は、その成分をロスなく化粧品に配合し、消費者にヒト幹細胞培養液の良さを体感してもらうための原料開発を続けています。


その一つが 2022 年 9 月に発表した『EXO-SAVE』という技術です。培地成分を調整することで、ヒト幹細胞培養液に含まれるエクソソームのロスを最大限に抑えることができます。この技術の導入には、富士フイルム和光純薬が持つエクソソームの正確な分析が不可欠でした。そこに至るまでの足跡を紹介します。


ヒト幹細胞培養液の需要の⾼まりからエクソソームのロスが顕在化

 

 

アンチエイジング社のヒト幹細胞培養液の成分ロスを防ぐ技術の代表格はリポソーム加工です。リポソームはリン脂質の二重膜構造のカプセルで、このカプセルの中にヒト幹細胞培養液を内包させると、皮膚に浸透しやすくなります。当社は日本で原料供給を開始した当初から、化粧品に配合するヒト幹細胞培養液には、リポソーム加工を施したものを推奨しています。これはヒト幹細胞培養液の機能性成分である成⻑因子が、塗布しただけでは皮膚に浸透しづらいということを知っているからです。加えて、リポソーム加工は水溶液中で壊れやすい成⻑因子を保護する役割も持っています。


近年、ヒト幹細胞培養液の需要の高まりとともに、リポソーム加工していないヒト幹細胞培養液の需要も増加してきました。そこで問題となるのが、成⻑因子やエクソソームの容器への付着です。研究の領域では、ヒト幹細胞培養液の成⻑因子やエクソソームは容器の内壁に付着して回収しづらいことが、よく知られています。


アンチエイジング社のヒト幹細胞培養液は、2020 年に現在につながるローリングボトル培養方式を正式導入したことで、通常の培養の約 10 倍にもなる成⻑因子やエクソソームを含有する『RemyStem』になりました。これにより容器への付着があっても、十分な機能性成分を含んだ原料を提供することができるようになりました。しかし、十分な機能性成分を含んでいても、ロスしていることには変わりありません。

 

 

富⼠フイルム和光純薬との出会いから

 

 

なんとかロスを防げないものか?と試行錯誤する中で完成したのが培地の成分調整による『EXO-SAVE』技術です。ただ、理論としてはエクソソームのロスをなくすことがわかっていても、実際にはエクソソームの含有量が増加するのか、それを簡単に確認する術がありません。そんな時に出会ったのが、富士フイルム和光純薬株式会社です。理系の学生で実験を行う研究室に在籍した経験があれば、富士フイルム和光純薬の試薬のボトルを目にしたことがない者はいないはずです。キムワイプと並んで薬品棚の富士フイルム和光純薬のボトルは研究室の原風景です。


富士フイルム和光純薬はエクソソーム研究に関する試薬や受託試験を数多く扱っており、その一つが『PS アフィニティー法』という高精度にエクソソームを単離・精製する技術です。『PS アフィニティー法』は富士フイルム和光純薬が金沢大学医学系免疫学の華山教授と共同で開発した、エクソソームをはじめとする細胞外小胞の表面に存在するホスファチジルセリン(PS:Phosphatidylserine) へ特異的に結合する Tim4 タンパク質を利用した新規の手法です。この方法であれば、『EXO-SAVE』の効果を正確に測定できます。


Tim4 タンパク質はカルシウムイオンを介してエクソソームの膜にある PS に結合します。『PS アフィニティー法』はこの Tim4 タンパク質に磁気ビーズを結合させておき、Tim4 タンパク質をエクソソームの PS に結合させ磁気によってエクソソームを捕捉・収集 した後にキレート剤によってカルシウムを取り除くことで、高精度なエクソソームの収集が可能で、従来の遠心分離法と比較すると、活性を保ったままのエクソソームが収集できます。

 

 

正確な測定ができたことで⾃信を持って新原料をリリース

 

 

富士フイルム和光純薬は、この Tim4 タンパク質を ELISA に応用し『PS Capture™ ExosomeELISA』を開発しました。この ELISA キットはエクソソーム表面マーカー抗体タンパク質を固相化する従来の ELISA 法より高感度にエクソソームを検出できます。このキットを使って『EXO-SAVE』を用いたヒト幹細胞培養液のエクソソームを測定すると、従来の『RemyStem』と比較すると、約 7 倍ものエクソソームが含有されていることが確認できました。


こうした精密なエクソソームの測定ができたことで、自信を持って『EXO-SAVE』をリリースすることができました。エクソソームについて化粧品業界では、いささか話題先行という面が否めません。そうした中で富士フイルム和光純薬と出会えたことで、当社の技術を科学的に裏付けすることができました。日本で初めてヒト幹細胞培養液を上市したアンチエイジング社の務めとして、これからも科学に基づいた正確なデータとともに、消費者の美容に貢献できる原料を提供し続けたいと思っております。

 

 

会社情報

会社名:富⼠フイルム和光純薬株式会社

本社所在地:⼤阪府⼤阪市中央区道修町3-1-2

事業内容:試薬、化成品ならびに臨床検査薬の製造・販売

 

 

会社名:アンチエイジング株式会社

本社所在地:東京都港区南⻘⼭3-4-6 AOYAMA346 3F

代表取締役:⽜島 美樹

事業内容:ヒト幹細胞培養液などの機能性化粧品原料の販売




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