医療・医薬・福祉

FromプラネットVol.226<薬の購入に関する意識調査>

プラネット
8割超の人が市販薬を購入する場所は…? ~若年層は購入時にネット情報も積極活用~




 国内1,500社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (所在地:東京都港区、代表取締役社長:坂田政一) は消費財や暮らしにまつわるトピックスをお届けする 『Fromプラネット』 の第226号として、薬の購入に関する意識調査(対象4,000人)の結果をご紹介します。未掲載のデータ提供や当社担当者が解説を差し上げることもできますので、お気軽にお問い合わせください。
※回答率(%)は小数点第2位以下を四捨五入し同第1位までを表示しています。そのため、内訳の合計と表示値が異なる場合があります。
- 70代以上は約4分の3が「処方薬を毎日服用」

 「風邪をひいた」「頭痛がする」など、病院に行くほどではないが辛い症状を和らげたい時に活躍するのが、ドラッグストアなどで購入できる市販薬でしょう。近年は、医療機関で処方される薬 (以下、処方薬) と同じ成分を含む「スイッチOTC医薬品」の登場で、効能が高い薬が手軽に購入できるようになったほか、2017年には対象の市販薬の購入費用が課税所得から控除される「セルフメディケーション税制」も導入されました。風邪の季節を迎えた今回は、市販薬の購入について調査しました。
 まず、内服薬の服用状況をたずねた結果が図表1です。「処方薬を毎日服用」は47.1%と半分近くにのぼり、「服用していない」38.8%がこれに続きました。市販薬については「毎日服用」は1.3%に過ぎず、「頓服」(とんぷく:症状や痛みが強い時のみ服用)が7.6%と優勢でした。年代別では、「処方薬を毎日服用」は年代が上がるほど上昇し、70代以上では73.7%に。市販薬については、各年代で「毎日」より「頓服」が上回り、特に40代ではその差は11.2ポイントに。20代の「頓服」で処方薬が市販薬を上回るのは興味あるところです。



- 4割超が「解熱・鎮痛・鎮静剤」「風邪薬」「目薬」を“自宅に常備”

 自宅に常備している市販薬の種類では(図表2)、トップは「解熱・鎮痛・鎮静剤」43.8%。急な発熱や慢性的な頭痛など、幅広い症状に効果があることから、家にあると安心ですね。これに41.5%で続くのが「風邪薬」。今回の調査で、風邪をひいたときに24.6%が「必ず」、54.8%が「症状が重いとき」に服用するとしており(図表非掲示)、解熱・鎮痛・鎮静剤とセットで常備している人も多そうです。41.3%と僅差で3位となったのは「目薬」。スマホやパソコンによる疲れ目や目の乾きを癒すために常用しているのでしょうか。男女別のトップ3では、男性が「風邪薬」「目薬」「虫刺され薬、かゆみ止め」、女性は「解熱・鎮痛・鎮静剤」「目薬」「虫刺され薬、かゆみ止め」と差が。特に「解熱・鎮痛・鎮静剤」は女性が15.9ポイント上回りました。



- セルフメディケーション税制の認知度も年間購入額に影響?

 市販薬の購入状況について、少し詳しくみてみましょう。まず、購入の頻度については(図表3)、最多は「半年に1回程度」20.7%で、これに僅差の20.5%で「2~3カ月に1回程度」が続き、頻度としてはそれほど高くないと言えます。一方で「月に複数回」「月1回程度」という人も計13.7%にのぼり、家族も含めて複数種類の薬を常用しているケースもありそうです。一方で、「市販薬は購入しない」も17.9%おり、病院での処方薬で事足りているということか、はたまた薬の服用自体に抵抗感があるのか、どちらなのでしょうか。



 年間購入額では(図表4)、最多は「1,000~2,000円未満」27.6%、これに「2,000円~4,000円未満」21.7%、「1,000円未満」17.8%が続き、購入頻度と連動している印象を受けます。「1万円以上」は計6.2%にのぼりました。これをセルフメディケーション税制の認知度別にみると、税制優遇を受けられる年間世帯購入額と同じ「1万2,000円以上」とした人は全体では3.9%ですが、同税制を「知っている」人では8.9%と5ポイント高いほか、全体に購入額が高い傾向もみられ、制度を意識して市販薬を購入しているのかもしれませんね。



- 購入場所は「ドラッグストア」が圧倒的首位に

 市販薬をどこで買うかについても、きいてみました(図表5)。86.4%と圧倒的な支持を集めたのが「ドラッグストア」。生活圏内に複数の店舗があるケースも少なくなく、気軽に利用できるうえ、食品や生活用品も購入できることも背景にはありそうです。2位は“薬の専門店”である「薬局」15.8%に。「オンラインショップ、ECサイト、通販」が「スーパー」を5ポイント以上上回ったのは、時代を反映している感があります。昔ながらの「配置薬・置き薬の業者」も3.4%に。



これらの場所で購入する理由もきいたところ(図表6)、「すぐに購入できる」「自宅から近い」「いつでも購入できる」といった利便性に関連した項目が各3割超に。ほかにも、「お店へのアクセスが良い」27.0%(5位)、「薬以外の買い物ができる」23.4%(8位)といった利便性に関する項目がランクイン。また、「ポイントがたまる」28.1%(4位)、「安価で購入できる」20.3%(10位)といったお得感を重視している人も少なくないようで、“便利かつ、お得感があること”が薬の購入場所を選ぶ際のポイントになっているようです。



- 購入の参考にする情報源は意外と保守的、若年層はネットも駆使

 風邪をひいて薬を買いに行っても、店頭に並ぶ多種多様な商品を前に迷ってしまうこともあるでしょう。そこで、市販薬の購入の際に参考にするものをたずねた結果が図表7です。34.2%と最多だったのは「以前から使っているもの」。やはり勝手知ったる商品には安心感がありますね。これに0.3ポイントの僅差で続いたのが「パッケージ上の説明書き」。特に新製品などは店頭でパッケージを凝視しがちですね。3位は「店員、薬剤師の意見」28.8%。迷ったときはお薦めをたずねるのが確実と思ってのことでしょうか。「テレビ・ラジオのCM」「信頼できる人からの意見」など従来からの情報ソースが、SNSを含むネット上の情報より高位にあるのは、健康に関わることなので正確な情報を求めてのことかもしれません。性年代別でみると、若年層は「以前から使っているもの」など全体上位の項目は低位にとどまる一方で、ネット上の情報が高い傾向にあります。なかでも20代男性は、「テレビ・ラジオのCM」「信頼できる人からの意見」「紙媒体」も高位となっており、幅広く情報収集しているようです。



- 約6割が購入時に「薬剤師に相談」、その内容は…?

 前項で約3割の人が市販薬購入の際に「店員、薬剤師の意見」を参考にしていましたが、実際に相談経験があるかを聞いたところ(図表8)、「必ず」と「時々」を合わせて57.5%が「相談したことがある」と回答しています。



では、具体的にどういったことを相談したかをたずねてみました(図表9)。55.9%と半数以上の人が挙げたのが「薬の効果」で、これに「他の類似薬との効果などの違い」44.2%が続きました。基本的な疑問を解決するために、専門的見地から意見を聞こう、という人が多いようです。他の薬を飲んでいる場合に気をつけなけばいけない「飲み合わせ」が27.9%、「正しい服用方法」も23.9%の人が挙げました。性年代別では、若年層は「効果」や「類似薬との違い」は相対的に低めですが、「正しい服用方法」「他の薬との飲み合わせ」「薬の副作用」が他の年代より高位なのは興味あるところです。特に若年男性でこの傾向が強く、前項で多くのソースから情報を得ている点と併せて、“薬を正しく飲む”意識が強いのかもしれません。また女性50・60代で半数超が「類似薬との違い」を挙げたのは、“薬選びで失敗したくない”心理が働いてのことでしょうか。



- ドラッグストアの増加やネット販売で薬の買い方にも変化…?

 最後に、薬との付き合い方や、風邪・病気のときの思い出などを自由回答で教えてもらいました。一通りの薬を常備する人、具合が悪くなってから買う人、それぞれの買い方があることがわかります。薬剤師に相談して購入した薬が著効したというエピソードもありました。また、風邪の思い出は食べ物とリンクしたものが多く、家庭ごとの「風邪の時の食事」の多様さを知るとともに、家族の温かみが感じられてホッとしますね。
《 薬との付き合い方、風邪や病気をしたときの思い出など 》
【市販薬、こんなものを常備しています】
● 生理痛のため痛み止めは常備していて、風邪を引いた時もそれを服用している。(女性・30代)
● お腹を壊したとき用に整腸薬、肩こりや筋肉疲労のために湿布薬、発熱・頭痛・生理痛のために解熱鎮痛剤を常備している。特に解熱鎮痛剤は用途に応じてアセトアミノフェンやNSAIDsなど複数用意。(女性・50代)
● コロナで熱が出た時にカロナールとロキソプロフェンがあって良かったなって思いました。(男性・20代)
● 頭痛持ちなので急に頭が痛くなることがしばしばある。薬局のやっていない時間等は困るので、必ず置き薬として自宅にある。また外出先でも困るので、頭痛薬は必ず持ち歩いている。(男性・50代)
● 目薬、湿布薬、鎮静剤、栄養剤、風邪薬、その他の衛生用品は常備するようにしているけれど、時々勘違いして十分残っているのに買い足してしまうことがある。でも、新型コロナが流行したときは解熱剤などが店頭から無くなったが、買い置きしていたおかげで慌てずにすんだ。(男性・60代)

【どんなふうに薬を買っている?】
● 薬は副作用が怖いので、過去に飲用して大丈夫だったものを基本的に購入している。(女性・40代)
● かぜ薬を常備するのに種類が多すぎてどれを選べばいいのかわからないので薬剤師に聞く。症状に合わせて買うのがベストだと思った。(女性・50代)
● 一般的な薬は準備しているが、緊急な時はオンラインも利用している。薬が自宅に届くのは便利。(女性・50代)
● 子どもの頃から服用している薬は安心感があり、今も買い続けている。(女性・60代)
● 市販薬が期限までに使い切れないことが多いので、必要な都度、少量を購入している。(女性・60代)
● 基本的にあまり風邪などをひくことがないため、買い置きをしていても使用期限がすぐに切れてしまう。そのため、発症してから購入することにしている。(男性・60代)
● 家族それぞれ持病が有り処方箋薬を飲んでいるので、市販薬を買う時は必ず薬剤師にお薬手帳を見せて相談している。(男性・70代以上)

【薬の思い出】
● 出先で夜中に急に歯が痛くなり、我慢できないくらいの激痛だったので、遅くまで開いているドラッグストアを見つけて薬剤師さんオススメの痛み止めを買って飲んだら、驚くほど痛みが引いて楽になった。(男性・50代)
● 書類を仕上げる仕事があったのに、風邪を引いていたので風邪薬を飲んだら眠くなり朝まで眠ってしまい、大恥をかいた。(男性・70代以上)
● 昔は配置薬の交換時に紙風船などが貰えた思い出がある。(女性・60代)

【風邪に効く食べ物の思い出】
● 子どもの時に風邪をひいたときは、さつまいものおかゆや、生姜の入った卵あんかけうどんをよく母が作ってくれて、体がぽかぽかになりました。(女性・30代)
● 小さい頃から今も、祖母から教えてもらった金柑と黒砂糖などを入れたお茶を作り飲んで治す。(女性・50代)
● 風邪をひくと父がおかゆと一緒に、よくりんごをすってくれた。病院に行って注射をしたり薬を飲むのは嫌だったけれど、おかゆとりんごのおかげで安心して身体を休めることができた。(女性・50代)
● 子供の頃に風邪を引くと、最近亡くなった母親が作ってくれた大根の蜂蜜漬けの汁を飲んだ。あの味が今だと懐かしくて感謝しかない。(男性・50代)



調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「薬の購入」に関する意識調査を実施。
期間:2024年10月1日~5日、インターネットで4,000人から回答を得ています。

株式会社プラネットとは https://www.planet-van.co.jp/ 
メーカー、卸売業、小売業がサプライチェーンとして連携し、生活者へのサービス向上を目指して進化を続ける日本の消費財流通を、情報インフラ運営で支えている上場企業(証券コード2391)です。

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