治療・予防

日常的に保湿を
~あかぎれ、寒い時期に限らず(よしき銀座クリニック 吉木伸子院長)~

 皮膚の乾燥が原因の「あかぎれ」。手指の皮膚に線状の亀裂が入って痛みが出る。寒い時期に多いが、感染症予防などで手洗いを繰り返すと、季節に関係なくあかぎれに悩まされることも。よしき銀座クリニック(東京都中央区)の吉木伸子院長は、日常的な保湿が重要だと指摘する。

皮膚の構造

皮膚の構造

 冷え性の人は要注意

 皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層から成る。表皮は皮脂膜で覆われ、その下の角質層には肌の潤いを保つ「セラミド」という保湿成分が含まれる。セラミドのバリア機能が外からの刺激や乾燥から皮膚を守っているが、さまざまな原因でこの機能が失われることがある。

 「寒い時期にあかぎれが多くなるのは、冷たい空気に触れて皮膚表面が乾燥したり、血行が悪くなったりするためです」と吉木院長。皮膚の温度が下がると血の巡りが悪くなり、水分や栄養が不足して乾燥を起こす。そのため、冷え性の人は皮膚が荒れやすくなる。

 この他、手洗いやアルコール消毒、洗剤や水に触れる機会が多い人は、一年を通してあかぎれになりやすい。セラミドが洗い流されると、乾燥して肌荒れを起こし、ピリピリと痛んだり、皮膚が割れて血がにじんだりすることもある。

 また、「放置すると、手のひらや甲、腕まで広がることも。アトピー体質の人がなりやすく、治るのに時間がかかるので、ケアが非常に大切です」。

 ◇せっけんで感染症予防

 水に触れると皮膚が乾燥しやすくなるため、水仕事の際はゴム手袋をはめるとよい。ゴムでかぶれる人は、素材の違うものを試したり、薄い綿の手袋にゴム手袋を重ねたりする方法もある。

 感染症対策でアルコール消毒をする機会も多いが、吉木院長は「せっけんで手を洗うだけで十分に感染症予防になる」とし、「手を洗ったら、乾いたタオルで水を拭き、ハンドクリームなどの保湿剤を塗るのが鉄則です」と話す。保湿剤は潤いが持続するものが望ましく、塗ってから1、2時間で皮膚が乾くものは避けたい。

 「油分を含んでいてもベタベタしないタイプの保湿剤もあります。冷え性の人は、血行を良くするビタミンE配合のものがお勧めです」

 ひび割れた場合は、「特に、ハイドロコロイド素材のばんそうこうは傷口を保護し、治りやすい湿った環境をつくります。ばんそうこうを貼ってから保湿剤を塗ると、剝がれにくいですよ」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

【関連記事】


新着トピックス