医学生のフィールド

君たちは未来をどう構想するか? 社会の主流となるWell-being(ウェル・ビーング)を医学生の視点で読み解く


上段左から田邊さん 國富さん 谷さん下段左から石川先生、編集担当稲垣氏

 ◇日本の社会的なウェルビーイングの課題とは

田邉 Well-beingにおいて、日本が抱える課題は何でしょうか?

石川 Well-beingの基盤となるものを考える必要があると思います。自分が注目しているのは広義のWell-beingです。WHOの健康の定義をもとに考えると、三つの狭義のWell-beingからなると考えられます。その三つというのは、肉体的・精神的・社会的Well-being。三つ目の社会的Well-beingとは、格差が小さいことや人と人とのつながりなどさまざまなことを意味しますが、大切なのは社会的寛容度の高さだと思っています。

 現在の日本は、社会的寛容度の低さが著しいです。つまり、マイノリティーの人に厳しい国と言えます。社会として、マイノリティーの人に寛容になること、つまり自分と違うタイプの人にどれだけ寛容になれるかどうかが社会的Well-beingの獲得の鍵となってくると思います。最近の例でいうと、LGBTQの人々が社会で受け入れられる動きなどが社会的Well-being獲得への動きであると言えます。こんなふうに、自分と違うタイプの人に寛容になり、社会として人を区別や差別をしないことが社会的Well-beingにつながると考えています。けれども、これを実現しようとするときに一番必要となるものが、今の日本には欠けています。それは意思決定者の多様性(diversity)です。

 ニュージーランドがなぜ世界で初めてWell-being予算を組めたのか?これを考えたとき、首相が若い女性であることが理由として大きいように思います。意思決定者に若い方あるいは女性が多くなればdiversityがあると言えるわけではないけれど、日本は意思決定者に男性が過多であり、意思決定者に男性が多い社会では、社会としてのWell-beingは獲得しづらいのが現状です。日本という国が社会的Well-beingを獲得することを考えたとき、第一に取り組むべきは、意思決定者に若者やジェンダーの多様性を増やすことだと考えます。日本の女性の社会進出は進んできてはいますが、世界と比較すると意思決定者におけるジェンダーの多様性は極端に低いです。この課題を解決するべく僕も活動しています。

 ◇「正しく生きるか」「面白く生きるか」

田邉 最後に、若者へメッセージがあれば、お願いします

石川 「正しく生きること」と「面白く生きること」この二つに優劣は存在しませんが、特徴がまったく異なっています。面白さというのは、世の中の正しさから外れるが故に生じます。つまり、正しさを逸脱してこそ生まれるのが面白さだと思います。

 また、「正しさ」と「面白さ」と同様に重要になってくるのは、「時代に合わせたいのか」「時代を創りたいのか」です。時代に合わせるということは、時代の務めを果たすことだと思います。時代の務めを果たすこと・時代を創ることは、どちらも大切だけど、時代を創る人は、心のどこかに今の時代に対する不平不満があり、それが行動の原動力の一つになっていると言えます。

 若いころは自分がそのどちらに向いているのかわからない人が多いかもしれません。そういう人には「どっちもやってみる」ことを勧めています。既存の体制の中で頑張ること、既存の体制から大きく外れて頑張ることの両方を体験することにより、自分の向き不向きが見極められ、前進できます。正しさと面白さ。既存と刷新。道はいろいろありますが、最後に決めるのは自分。若いうちにいろいろな挑戦をして自分の進むべき道を見つけてください。

【石川善樹氏プロフィル】
公益財団法人Well-being for Planet Earth 代表理事

https://yoshikiishikawa.com/

【聞き手】:田邉翼(大阪大学医学部医学科3年)文:國富太郎(順天堂大学医学部医学科3年)、谷悠太(慶應義塾大学医学部3年)」

参考文献:
*1.  「WHO憲章とは」:https://is.gd/mqujT2
*2. 「よい人生とは何か?」:https://is.gd/Okx1AV
*3. 「国民総幸福量」:https://is.gd/8mtWLr
*4. 「国民の幸せは国の義務」:https://is.gd/ZPddye
*5. 「英国で取組みが進む社会的処方」:https://is.gd/XGHI7N
*6.「定款:エーザイ株式会社:https://is.gd/RQiQQm
*7. 「なぜ、楽天がウェルビーイング? CWO小林氏に聞く(2)」:https://is.gd/WRdY51
*8.「2020年3月期 決算説明会 Ⅱ部(社長メッセージ)」:https://is.gd/33yYlj
*9.  「On the promotion of human flourishing」:https://is.gd/IyQ9U4 

  • 1
  • 2

医学生のフィールド