統合失調症、脳内タンパク質不足が関与=マウス実験で確認、治療薬開発に期待
◇新薬開発に期待
中澤特任准教授は「ARHGAP33を持たないマウスをつくって脳の機能を調べたところ、そのマウスではつい先ほど入った通路がどれかといった記憶を保持できないことが分かりました。人間の日常生活で例えれば、職場などで求められる数字の計算作業ができないといった脳の高次機能に障害がある状態ということになります」と説明する。
また、ARHGAP33遺伝子に、統合失調症と関連する一塩基多型(遺伝情報のわずかな違い)を発見。その一塩基多型を持つ統合失調症患者の脳を検査した結果、一部の患者においてはARHGAP33の量が少なく、脳の特定の領域の体積が小さいことが分かったという。
「ARHGAP33の量が少ないと、TrkBがシナプスの部位に運ばれず、シナプスの形成が不十分となって機能が低下してしまい、脳に高次機能障害が表れると考えられます」と中澤特任准教授。
統合失調症は原因がよく分からず、治療が難しい病気とされているが、中澤特任准教授は「今回の研究結果が新たな治療薬の開発の足掛かりになって、将来的に、従来の治療薬では十分な効果が得られない患者に対して新たな治療法が見いだされることを期待しています」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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(2017/06/15 12:10)