話題

診療報酬改定を評価
日本臨床内科医会アンケート

 ◇院内処方にも光を

 薬価部分の1.3%程度の引き下げ(正式決定は1.45%)に関しては、「評価する」25%、「どちらかといえば評価する」34%だった。「評価しない」は15%、「どちらかといえば評価しない」は17%。「評価」が半数を超えたが、自由回答では意見が分かれた。

 「高額な薬剤の薬価引き下げが必要かと思う。あまりに高過ぎる」

 「薬(調剤)全体の配分比率をもう少し下げてほしい」

 「薬価は単に引き下げが可能だと思う」

 「当院は院内処方で、しかもジェネリック主体なので薬代はかなり安くなっている。院外処方費用はもっと安くしなければならない」

 「院外処方であればひと事かもしれないが、院内処方にとってはマイナスそのものだ。薬剤師がおり、ジェネリックを使って頑張っている院内処方にももう少し光を当ててほしい」

 「門前薬局が減少すれば、院外処方も不便になる。結果的には、医療をしづらくするのではないか」

 ◇消費税増税への対応を

 介護報酬は0.54%、障害福祉サービス報酬は0.47%引き上げられた。このプラス改定については、「どちらかといえば」を合わせ68%が評価した。評価しないとした回答は計18%だった。自由回答では「高齢者が増えている現状から治療・介護の現場の医療態勢をより良い、対応が可能な面をキープできるよう、十分配慮してほしい」との意見があった。

 自由回答からは、消費税増税への不安もうかがえた。

 「消費税問題に対しての明確な指針を決めてほしい」

 「消費税への対応によって改定の評価は決まる」

 「消費税増税の時、社会保障のためだとされた。しかし、名目だけで、増税分の戻ししかまわされていないと思う」

 日本臨床内科医会常任理事・清水惠一郎氏の話

2018年度の改定で診療報酬は技術料に当たる本体部分がプラス0.55%で、本体部分が国費ベースで500億円程度の引き上げとなり2016年度を上回る改定であった。一方、薬価部分が引き下げられ、全体ではマイナス改定となったのは残念な結果でした。日本臨床内科医会所属の先生方は、「評価する」と「どちらかといえば評価する」を合わせ45%と、「評価しない」と「どちらかといえば評価しない」の計35%を上回った。さらに、自由回答では本体部分のさらなる引き上げを求める声などがあった。

 今回の診療報酬改定の経緯は、財務省が医療費の膨張と税金や保険料の国民負担の増加につながると、財政規律を重視し各報道機関にマイナス改定の情報を事前にリークしたが、日本医師会は「本体部分が厳しい改定になれば、医療機関が倒産し地域医療が崩壊する」との主張で、医師の技術料に当たる本体部分のアップを目指し、官邸と直談判した結果が色濃く表れていた。日臨内の先生方も、事前の情報からは本体部分が厳しい改定となりそうな状況から、プラス0.55は満足ではないが、セカンドベストとして評価していると思われる。

 春闘で会社員の給与が3%近くアップするようであれば、医療機関には消費税対応等で実質的な収入増を強く要望すべきである。今後、改定の具体的な内容と要件に対するQ/Aが随時出されるが、各医療機関に対する影響を慎重に評価し、「かかりつけ医機能充実」を目指して対応策を建てるべきである。 (了)

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