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強直性脊椎炎(AS)は腰や首など背骨をつなぐ靱帯(じんたい)や、腱(けん)が骨に付く部位に炎症が起こり、進行すると靭帯が骨のように硬くなって、背骨が動きにくくなる(強直)難病だ。初期には悪化と改善を繰り返すことから、周囲に「怠け病」と誤解されて悩む患者も少なくない。順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)膠原(こうげん)病・リウマチ内科の多田久里守准教授は「朝方や夜間を中心に、安静にしていると腰の痛みが強くなり、体を動かすと良くなるのが特徴です」と話す。
強直性脊椎炎の主な症状
▽診断に長期間、誤診も
ASは、主に背骨や腰、股や肩の関節などに痛みやこわばりが表れ、これらの部位が次第に硬くなるリウマチ性疾患だ。患者は男性が女性の3~4倍を占め、多くが40歳までに発症する。数年以上かけて背骨の強直が起こることもあり、重症になると、背骨が前に曲がったまま固まってしまうため、生活の質(QOL)が著しく低下する。また、ぶどう膜炎という目の病気や、乾癬(かんせん)、潰瘍性大腸炎を合併しやすい。
原因は不明だが、多くの患者がHLA―B27という遺伝子を持っていることから、その関連性が指摘されている。ただし、このタイプの人がASを発症する割合は1割に満たない。むしろHLA―B27の遺伝的素因に、腸管感染症などが加わって免疫異常を生じた結果、発症するとも考えられている。
ASは確定診断までに10年近くかかる例も少なくない。関節リウマチ、椎間板ヘルニア、線維筋痛症などと誤診される場合も多いという。
▽生物学的製剤で改善
根治療法はなく、薬で痛みを緩和しながら、積極的な運動療法により、関節のこわばりや機能障害を防ぐことが治療の主体となる。
薬物治療は、初期は内服薬の非ステロイド性抗炎症薬やステロイドの局所注射が有効だが、進行するとインフリキシマブ、アダリムマブなどの生物学的製剤(TNF阻害薬)が使われる。TNF阻害薬は患者の日常生活動作を大幅に改善すると報告されている。さらに別のタイプの生物学的製剤(IL―17阻害薬)の治験も進行中だ。
薬物療法以外では、痛みの軽減のためにストレッチを行うと効果的である。
多田准教授は「症状があっても診断されず、見過ごされている人がいます。運動の痛みではなく、睡眠や運転などで同じ姿勢を長時間続けた後に腰が痛み、運動で改善することが多ければ、ASを疑ってみる必要があります」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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