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高血圧や脂質異常症、肥満などは生活習慣が原因で起こることが多い。治療には食習慣や運動習慣の改善が重要だが、実行は難しく、長続きしないケースも少なくない。生活習慣病の治療に認知行動療法を取り入れている関西医科大学付属病院(大阪府枚方市)健康科学センターの木村穣センター長に聞いた。
理想的な目標より、実現できそうな目標の設定を
▽自身を客観的に把握
「患者さんのほとんどに、自分はそんなに食べていない、自分にはできない、続かないといった『思い込み』があります。認知行動療法の特徴は、この思い込みをなくすことにあります」と木村センター長は説明する。
認知行動療法はこれまで、うつ病やパニック障害といった精神疾患の治療に用いられてきた。日々の行動や感情、食事内容などを記録し、自分自身を客観的に把握する「セルフ・モニタリング」を行う。すると、今の自分に実現可能な取り組みが徐々に分かるようになり、できることから実行に移していく中で、できないという思い込みが修正されていくという。
▽記録と振り返りを
生活習慣病における認知行動療法では「○○キログラム減量」「あしたから禁煙」という理想的な目標を掲げるのではなく、まずはセルフ・モニタリングから始め、今の自分ができそうなことを見つける。例えば「寝る前にはおやつを食べない」「毎日10分は歩く」「たばこを1日に1本なら減らせる」など、実現できそうな目標を設定する。食事や運動の内容、体重などとともに、行動の達成度合いを「よくできた」「できなかった」などの4段階に分けて自己評価し、記録することも大切だ。
「記録の振り返りがとても大事です。できることが分かれば自信がつき、『次は15分歩いてみよう』『午前中いっぱいはたばこを吸わないでみよう』などの前向きな気持ちが生まれ、行動が伴うようになります」と木村センター長。設定した行動以外にも「朝食は欠かさず食べる」「夜更かしをしない」といった改善点を見つけるなど、どのような行動を取ればよいかを自ら考えるようになるという。
「できない日があってもいい、できないならできそうな行動を考える。そのようにして小さな目標の達成を続けることが、生活習慣の改善につながっていきます」と木村センター長は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/04/04 18:15)
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