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目の老化現象ともいわれる白内障。加齢とともに患者数は増加し、70歳以上のほとんどにみられる高齢者の代表的な目の病気だ。最近は60歳未満の人でも増えているという。若年性白内障は加齢性の白内障よりも進行が速いため、早めに治療をする必要がある。
▽患者の2割が60歳未満
白内障は、黒目の奥にあり、カメラのレンズの役割を果たす水晶体が濁る病気。水晶体が濁ると、光を十分通さなくなるので見え方が悪くなる。光がまぶしい、目がかすむ、ダブって見えるなどの症状が表れる。メガネやコンタクトレンズを使っても、低下した視力は回復しない。
手術で目の水晶体が透明に
従来、白内障は60代以降に起きる病気と考えられてきた。しかし、白内障手術のパイオニアで、40年以上にわたって手術を行ってきた山王病院(東京都港区)アイセンターの清水公也センター長によると、最近1年間に手掛けた白内障手術955例のうち20%(195例)が60歳未満で、中には10代後半の患者も含まれていた。「これまでの臨床経験で、若年患者がこれほど多いことはなかった。若年性白内障が増えているのは間違いない」と指摘する。
▽レーシック手術やアトピーが原因か
その原因として清水センター長は、レーシック手術とアトピー性皮膚炎に注目している。レーシック手術は近視や乱視に対する治療法の一つで、目の一番外側にある角膜をレーザーで削り、角膜のカーブを変えることによって視力を回復させる。しかし、手術の合併症として、角膜の光学性能が低下する。そこに水晶体の濁りが軽度でも加わると、視力が著しく低下し、白内障が進行した状態と同様になる。
「日本でレーシック手術が最も盛んに行われたのは2000年ごろ。約20年を経て、視力が低下する人が増え、それが若年性白内障の増加につながっているのではないか」と推測する。一方、アトピー性皮膚炎では睡眠中に目の周辺がかゆくなり、無意識に手でこする、たたくことによる外傷が原因となるほか、使用するステロイド薬の副作用により白内障が起きる例もある。
若年性白内障による視力低下は、急速に進むのが特徴だ。数カ月で一気に悪化することもある。「若年性白内障と診断がついたら、急いで手術を受けた方がよいでしょう」と清水センター長。手術では、超音波で濁った白内障を砕いて取り除き、代わりに人工の眼内レンズを埋め込む。清水センター長は「患者さんのライフスタイルに合ったレンズの種類、度数を選ぶことが非常に大切です」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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