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日本人の死亡原因の第3位となっている肺炎。死亡者の多くが高齢者で、その7割以上が誤嚥(ごえん)性肺炎だ。誤嚥性肺炎の予防と早期発見のポイントについて、東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)呼吸器内科の山本寛部長に聞いた。
誤嚥性肺炎の症状
▽兆候を察知して早期発見を
加齢により体力や抵抗力が落ちたり、脳梗塞などの後遺症で飲み込む機能が低下したりすると、食べ物や飲み物をうまく飲み込めない嚥下(えんげ)障害に陥りやすい。すると、口から食道に送られる食べ物や唾液が、細菌とともに誤って気管に入り込む「誤嚥」になりやすく、誤嚥性肺炎の危険性が高まる。食事のときだけではなく、睡眠中に唾液などに含まれている細菌が気管から肺に入り込んで発症することもある。
気を付けたいのは、何となく元気がない、食欲がない、体が異常にだるい、食事中にむせるといった症状だ。高齢者では、発熱、せき、うみのようなたん、といった肺炎の典型的な症状が見られないことが多いため、注意深い観察が必要となる。
食事中にむせる場合は、かたくり粉などで料理にとろみをつけて飲み込みやすくする、背筋を伸ばしてあごを引く、などの工夫が誤嚥防止に役立つ。一方、「就寝中に起こる誤嚥は本人も周囲も分かりません。発熱などで肺炎の発症に気付くケースがほとんどです」と山本部長。普段より食欲がない、元気がないなどの兆候が見られたら、早期の受診で発見につなげたい。
▽口腔ケアとワクチンで予防を
予防のために大切なのは、口腔(こうくう)ケアやワクチン接種だ。「食べかすが口の中に残っていたり、入れ歯が手入れされていないと、細菌が増殖しやすくなります。歯磨きなどで清潔に保つことが、嚥下反射の改善にもつながります。歯科医への定期的な通院、訪問歯科診療なども利用しましょう」と山本部長。
最近の研究で、インフルエンザウイルスなどに感染して気道の細胞が傷つくと、日常的に気管内にいる細菌が感染して、二次的に肺炎を発症しやすくなることが分かってきた。インフルエンザワクチンの接種が予防策の一つになる。また、肺炎の原因菌で最も多く見られる肺炎球菌に対する肺炎球菌ワクチンの接種も勧められる。
「一度肺炎になったことがある人は、二次予防が重要です。口腔内の状況や介護者の食事介助の仕方など、誤嚥の原因を見極めて予防対策をしましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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