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食行動を中心にさまざまな問題が表れる「摂食障害」。専門知識のある医師による治療が必要なため、一般病院での受け入れは難しい。国立国際医療研究センター国府台病院(千葉県市川市)にある千葉県摂食障害治療支援センターの河合啓介センター長は「専門施設と地域の医療機関との連携を構築し、治療できる医療機関を増やすことが課題です」と話す。
摂食障害を早期に発見するためのサイン
▽低栄養で死に至ることも
厚生労働省研究班の調査によると、摂食障害の推計患者数は2万6000人。そのうち9割は女性で、10~20代の若年者の発症が多い。
摂食障害は「神経性やせ症(拒食症)」と「神経性過食症(過食症)」に大別される。拒食症は、肥満恐怖などから、痩せていても食事を極端に制限しようとする。一方、過食症は、体重は正常範囲で大量の食事を詰め込み、嘔吐(おうと)、下剤乱用といった行動が見られる。
「どちらの病気も、環境(家族や友人との不和、進路の悩みなど)、性格の特性、対人関係の苦手さ、過去に大きなストレスとなった出来事などさまざまな因子が発症に関与しています。発症後は、体重への過度なこだわりが続き、それが異常な食行動として表れます」と河合センター長。痩せが続くと筋力低下、生理が止まるだけでなく、栄養不足で命を落とす危険性もある。また、うつや不安症などを伴うことがあり、日常生活にも支障が出やすい。
▽専門施設は全国4カ所のみ
摂食障害の治療では、低栄養の改善と心理面接が中心になる。食行動を整えながら、体重への過度なこだわりばかりに目がいく考え方の変化を目指す。河合センター長は「治療は心身両面から行います。患者さんが困っている部分に目を向け、それを乗り越えられるようにサポートすることも重要です」と話す。
課題は国内の治療体制の強化。摂食障害患者支援の拠点となる支援センターは全国で4カ所にとどまっており、その一つである千葉県摂食障害治療支援センターには、県内はもとより関東全域から毎月50件ほどの相談が寄せられる。河合センター長は「摂食障害は長引くほど治療が難航します。治療できる医療機関が増え、多くの人が早期に治療を受けられることが理想です」と強調する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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