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思春期・若年成人を指す「AYA世代」のがんは、種類が多様で、治療に難渋するケースが多い。また、進学や就職、結婚など重要な節目と治療時期が重なるため、患者が抱える悩みや不安に対するケアも大切となる。国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)小児がんセンターの松本公一センター長に聞いた。
AYA世代で罹患率が最も高いがん種、患者が抱える悩み
▽年齢層でがんの種類に違い
がん治療の現場で用いられるAYA世代の定義は15~39歳。国内におけるAYA世代のがん(上皮内がんを除く)の年間罹患(りかん)数は、約2万2500例(2016年)と報告されている。年代別に見ると、15~19歳が約970例、20歳代が約4500例、30歳代が約1万7000例。
最も多いがんは、10代が白血病、20代は胚細胞性腫瘍や甲状腺腫瘍、30代は女性の乳がんや子宮がんと、年代によって違いがある。骨・軟部腫瘍や悪性リンパ腫といった希少がん(人口10万人当り6人未満のがん)を含め、がんの種類は多岐にわたる。
松本センター長は「小児から成人への移行期に当たるため、小児に好発するがんと成人に好発するがんのいずれもが発症する可能性があります。また、希少疾患が多く、症例の集積が困難で、有効性の高い標準治療の開発が遅れるなど、治療法が確立されていないことも多い」と話す。診療科がばらばらで、患者数も少ないため、診療経験が豊富な医師が少ないという課題も指摘されている。
▽生殖機能へ影響の問題も
患者はさまざまな問題を抱えており、治療のために進学や就職が困難になったり、抗がん剤や放射線治療による性腺機能不全の心配、容姿の問題などから、恋愛や結婚に消極的になったりする人もいるという。
生殖機能の問題について、松本センター長は「最近のがん治療の現場では、生殖機能の温存が重要な課題で、治療前に精子や卵子・卵巣を凍結保存する選択肢もあります。がんの治療後も患者が自信を持って生きられるように、精神的なサポートも欠かせません」と指摘する。
医療者側にも、それぞれの患者がニーズに応じた医療が受けられるよう、院内の連携に加えて、がん経験者のサポート団体や就労支援団体などとの連携が求められるという。松本センター長は「日本は、治療や患者支援の面で欧米に比べて大きく遅れており、患者はつらい立場に置かれています。社会の理解が広がってほしい」と訴える。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/03/06 07:00)
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