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脳の神経が一時的に過剰に興奮し、けいれんなどの発作を起こすてんかん。子どもや高齢者に多い病気だが、一部の子どもでは脳機能の発達の遅れや偏りである神経発達症(発達障害)を合併(併存)する。その現状と課題について、国立精神・神経医療研究センター病院(東京都小平市)てんかんセンターの中川栄二センター長に聞いた。
▽3割がADHDを合併
てんかんは、国内に約100万人の患者がいると推計される。患者の7~8割は、適切な薬物治療や外科治療で発作を抑え、就学や就労を含む社会生活や日常生活を送ることができる。
一方、子どものてんかん患者では、対人関係の構築やコミュニケーションが困難な自閉スペクトラム症(ASD)、不注意や多動を特徴とする注意欠陥・多動症(ADHD)、読む・書くなど特定の課題が困難な限局性学習症(学習障害)―といった神経発達症を合併することがある。てんかんの小児の約2割がASDを、約3割がADHDを合併しているという。ASDには、知的発達の遅れはない高機能自閉症、知的発達が遅れるカナー型自閉症などが含まれる。
「てんかんと神経発達症は、『脳神経の機能障害』という点で共通しています」と中川センター長。例えば、脳神経の過剰な興奮は集中力の低下や注意力の欠如として表れるが、てんかん発作を引き起こすこともあるのだという。
▽移行期の診療体制が不十分
そのため「医療現場ではてんかんの発作だけでなく、神経発達症の症状である集中力のなさ、いらいら感、落ち着きのなさなどを含めた診療が必要です」と説明する。
ただ、てんかん専門医は全国でも約700人にとどまり、中でも神経発達症を同時に診ることのできる専門医はかなり限られる。さらに、てんかん患者が成人後に脳神経内科、脳神経外科、精神科のどの診療科を受診すべきかが明らかでなく、学童期から成人期への治療のスムーズな移行に問題が生じている。
そこで、てんかん診療に関わる医療従事者が連携する動きがあり、15府県(2019年12月時点)で診療体制の整備が進んでいる。大学病院などが拠点機関となり、その病院の小児科・脳神経内科・脳神経外科・精神科、そしてクリニック、障害児施設、行政や福祉機関などが連携して、診断や治療、支援に当たる体制だ。中川センター長は「医療にとどまらず、社会生活、学校生活を含めた支援が重要です」と訴える。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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