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性行為で感染する性感染症のうち、最も患者数が多いクラミジア感染症は、自覚症状がほとんどないため、感染に気付かないことが多い。症状のはっきりしている淋菌(りんきん)感染症と重複して感染するケースもあり、見逃しによる重症化には注意が必要だ。プライベートケアクリニック東京(東京都新宿区)の尾上泰彦院長は、「口腔(こうくう)性交の普及で、咽頭にもクラミジアと淋菌が重複感染するケースがあります。気付かないまま性行為を繰り返すと感染が拡大してしまいます」と警鐘を鳴らす。
パートナーと同時に検査を受けて治療しないと、再感染を繰り返すことに
▽特に女性で乏しい症状
国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、性感染症のうち男女ともに最も報告数が多いのはクラミジア感染症だ。20代に多いが、女性では10代後半の感染も数多く報告されている。
感染1~3週間後に、男性では尿道からの分泌物やかゆみなど、女性ではおりものの増加、下腹部痛などの症状が表れる場合もあるが、女性の80%、男性の50%は無症状といわれ、特に女性は感染に気付きにくい。
一方の淋菌感染症は、クラミジア感染症とは対照的に男性での症状が強い。感染2~7日後に尿道口から黄色いうみが出て、排尿の開始時に痛みを感じる。女性では、クラミジア感染症と同様、症状が乏しいのが特徴だ。
口腔性交の増加で、クラミジアや淋菌が咽頭に感染するケースもある。しかし、喉が腫れる、赤くなるなどの症状が見られないため、ほとんどが感染に気付かないという。
クラミジアと淋菌を重複して感染するケースもあり、男性尿道炎を疑ったケースのうち5~8%が重複感染という報告がある。ただ、淋菌感染症の症状が目立つため、クラミジア感染症が見逃される可能性が高いという。
▽治療はパートナーと
感染が心配な場合は、深刻な自覚症状がなくても、男性なら泌尿器科、女性なら婦人科を早めに受診したい。検査は、男性では尿、女性では腟の分泌液、咽頭の場合はうがい液を用いて、病原菌の遺伝子を増幅するPCR法で調べる。結果が出るまで2~3日かかる。
クラミジア感染症の治療には、抗菌薬を1日あるいは1週間内服する。淋菌感染症は、抗菌薬の注射で治療する。重複感染している場合は同時に治療する。治療後2~3週間に、完全に治ったかどうかの確認検査を行う。
「性感染症の検査は、パートナーと同時に受けるのが鉄則。片方が治療しないと、再感染を繰り返すことになります。自分は相手が一人でも、パートナーに複数の相手がいればリスクは高まります。自分は大丈夫と思わないことが大切です」と尾上院長は強調している。(メディカルトリビューン=時事)(メディカルトリビューン=時事)
(2020/05/16 09:00)
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