下腹部痛
右下腹部が痛むときに多いのが急性虫垂炎で、圧迫して痛みが増し、吐き気があれば、すぐに医療機関を受診すべきです。腸捻転(ねんてん)や腸閉塞(イレウス)では激痛を生じ、排便がなくなり腹がはります。子どもの右下腹部によく起こる腸重積症も腸閉塞の一つです。便秘で下腹部痛をうったえることがあり、大腸憩室(けいしつ)があると起こりやすくなります。
尿管結石の場合は、急に起こる激痛が内股(うちまた)や陰部に放散し、血尿が出ます。前立腺肥大や前立腺がんの男性では尿道が狭くなり、また脳血管障害でも尿が出なくなることがあります。このような尿閉の人では、膀胱(ぼうこう)が尿で充満し、下腹部痛を生じます。ふつうは排尿がないので気づかれますが、脳血管障害を起こした人や高齢者では見のがされる場合があり、注意が必要です。
女性の場合、卵巣嚢腫(のうしゅ)の茎捻転(けいねんてん)や子宮外妊娠破裂では、左右いずれかに激痛が起こり、すぐに医療機関を受診すべきです。子宮内膜症や子宮筋腫でも下腹部が痛み、月経の量が多くなったり、貧血になったりします。
(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹)
尿管結石の場合は、急に起こる激痛が内股(うちまた)や陰部に放散し、血尿が出ます。前立腺肥大や前立腺がんの男性では尿道が狭くなり、また脳血管障害でも尿が出なくなることがあります。このような尿閉の人では、膀胱(ぼうこう)が尿で充満し、下腹部痛を生じます。ふつうは排尿がないので気づかれますが、脳血管障害を起こした人や高齢者では見のがされる場合があり、注意が必要です。
女性の場合、卵巣嚢腫(のうしゅ)の茎捻転(けいねんてん)や子宮外妊娠破裂では、左右いずれかに激痛が起こり、すぐに医療機関を受診すべきです。子宮内膜症や子宮筋腫でも下腹部が痛み、月経の量が多くなったり、貧血になったりします。
症状 | 病名 | そのほかの症状など |
---|---|---|
吐き気や嘔吐あり | 急性虫垂炎 | 右下腹部痛、押さえると痛む、発熱 |
急性腸炎 | 下痢 | |
腸捻転 | 激痛、排便なし、腹がはる | |
腸閉塞(イレウス) | 腹がはる、便秘、冷や汗 | |
腸重積 | 右下腹部痛 | |
吐き気や嘔吐なし | 便秘 | くり返す、腸にガスがたまる |
大腸憩室症 | 押さえると痛む、くり返す | |
潰瘍性大腸炎 | 粘血便、下痢、発熱、食欲不振、やせ | |
尿管結石 | 背中をたたくと痛い、血尿、片側性 | |
尿閉 | 排尿なし、腹がはる | |
膀胱炎 | 頻尿、排尿時痛、血尿、残尿感 | |
精巣上体炎 | 睾丸の辺縁が痛い、陰嚢内の痛みを伴うしこり | |
異所性妊娠(子宮外妊娠) | 不正出血、腰痛、破裂するとショック | |
卵巣嚢腫の茎捻転 | 片側の激痛 | |
子宮内膜症 | 月経の周期で痛みが変化、月経過多、下腹部圧痛 | |
子宮筋腫 | 貧血、月経過多、下腹部のしこり | |
流産 | 性器出血 |
(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹)