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物をつまんだりひねったりと、普段何気なく行っている手の動作の約半分は親指が関わっているとされる。「母指CM関節症」は親指に起きる変形性関節症で、根元の関節に炎症が起こり、動かしにくくなったり変形したりする。JR東京総合病院(東京都渋谷区)整形外科の三浦俊樹部長は「手や指の変形性関節症は膝よりも頻度が高いと言われています。母指CM関節症は、加齢とともに増加します」と話す。
親指全体がZ型に変形していく
▽加齢や酷使が原因
親指の根元から伸びる第1中手骨と、手首の骨の一つである大菱(だいりょう)形骨との間の関節を母指CM関節という。母指CM関節症は、加齢や手の使い過ぎにより軟骨がすり減ることで発症し、40歳以降の女性に多い。
初期は、物をつまんだり瓶のふたを回したりするときに親指の付け根が痛む。進行すると変形するようになる。三浦部長は「関節表面の軟骨が消失し、骨同士が直接当たるようになります。親指の根元の骨が出っ張り、親指全体がジグザグ(Z型)に変形していきます」と言う。放置しても治ることはなく、変形は年単位でゆっくりと進行する。
▽保存的治療か手術
母指CM関節症は、左右どちらの手にも起こる。レントゲンで所見があっても症状の出ない人は多い。痛みが無く日常生活に困らないなら特に治療は行わず、痛みがある場合は保存的治療を行う。湿布薬や痛み止めの飲み薬の他、親指から手首にかけて装着する固定装具で関節の動きを制限し保護する。炎症が強い場合は、ステロイドの関節内注射を行うこともある。三浦部長によると、同院では保存的治療で約6~7割に痛みの軽減が見られるという。
保存的治療を行っても痛みが取れず、日常生活に支障を来す場合は、手術も考慮する。手術は関節形成術と関節固定術の二つがあり、症状によって選択される。同病院では主に関節形成術を行っている。大菱形骨を一部または全部削って隙間に関節周囲の腱(けん)を挿入し、靱帯(じんたい)を再建して関節を安定させる。手術後約3週間はギプスで固定し、力を入れる動作は2カ月過ぎてから行う。「9割以上で痛みの改善が期待でき、元のように関節が動かせるメリットがあります。ただし痛みはすぐになくなるわけではなく、半年くらいかけながら徐々に消えていきます」と三浦部長。
普段から手の動作で親指の根元に痛みを感じるようなら、物をつまむなどの動作時に力を入れ過ぎないようにし、それでも痛みが取れないときは早めに整形外科を受診したい。 (メディカルトリビューン=時事)
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