治療・予防 2024/11/18 05:00
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帯状に赤い発疹や水膨れが胸や腹、顔などにでき、痛みを伴う「帯状疱疹(ほうしん)」。小児期に水痘(水ぼうそう)にかかって、体内に潜伏していたウイルスが免疫力の低下により再活性化し、発症する。帯状疱疹が治癒した後も痛みが続く例があるため、予防や治療が重要となる。
▽50歳以上の2割で痛みが持続
帯状疱疹の症状は、発疹とぴりぴりした痛みが特徴だ。神経節内に潜伏していたウイルスが増殖する際に神経を傷つけ、痛みを引き起こす。皮膚症状は2~3週間で治ることが多いが、治癒後も痛みが残る例があり、3カ月以上続くと帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる。
東京医科大学病院(東京都新宿区)麻酔科の大瀬戸清茂特任教授は「年齢が高くなるほど神経痛が残りやすく、50歳以上の約2割がPHNを発症します」と話す。
帯状疱疹の発症直後には、抗ウイルス薬でウイルスの増殖を抑えることができるが、それ以降は鎮痛薬などが用いられる。痛みが強い場合には、神経の働きを一時的に止める神経ブロックなどが行われる。PHNに移行すると、抗うつ薬や新しい作用メカニズムを持つプレガバリンや、2019年4月に登場したミロガバリンが使用される。
大瀬戸特任教授は「ミロガバリンはプレガバリンより効果が少し高い印象があり、今後は治療ガイドラインで第一選択になると思われます。ただ、痛みを完全に抑える治療法はなく、治療には時間を要します」と話す。
PHNに移行しやすいのは、高齢者、女性、帯状疱疹の初期症状が重症な例などだという。「PHNを防ぐには、帯状疱疹の発症初期から痛みの対策を行うことが重要です。神経ブロックを複数回実施すると、予防できる可能性が高くなります」と大瀬戸特任教授。
▽ワクチン接種で予防を
近年、帯状疱疹の患者数は増加しており、14年の小児に対する水痘ワクチンの定期接種化がその一因とされる。「以前は、水痘の小児が身近にいる子育て世代では免疫が再強化されるため発症が減り、50代以降に増えていました。ところが、小児の水痘患者が激減したため、免疫再強化の機会が失われた30~40代の帯状疱疹の発症が増えているのです」と大瀬戸特任教授。
予防にはワクチンが有効だ。50歳以上は任意接種で6千~1万円で受けられる。米国の研究では、接種により帯状疱疹の発症が51・3%、PHNへの移行が66・5%減少したと報告されている。 (メディカルトリビューン=時事)
(2020/05/23 09:00)
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