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成人になってから初めて水痘(みずぼうそう)に感染すると、高熱を伴い重症化しやすい。髄膜炎や脳炎などを起こした場合、重い後遺症を残すことがある。また、子どもの頃に感染していても、極度の疲労やストレスなど免疫の低下から再感染することがある。大阪市立総合医療センター皮膚科の深井和吉部長に聞いた。
50歳以上であれば、帯状疱疹の予防に水痘ワクチンの接種を
▽妊婦は流産の危険も
水痘は、水痘・帯状疱疹(ほうしん)ウイルス(VZV)に感染して起こる。全身の皮膚や粘膜に直径3~5ミリの盛り上がった赤い発疹が表れ、真ん中がややへこんだ水膨れとなった後にかさぶたが生じて治る。通常は子どもの頃に感染し、死ぬまで免疫を得ることが多い。
「子どもでは38度程度の熱が2~3日続くことがありますが、症状は軽い例が多いです。しかし、成人では39~40度の高熱を伴い、強い倦怠(けんたい)感に見舞われます」と深井部長。発疹も5~6ミリと大きく、顔や頭皮をはじめ全身に強く表れる。子どもの発疹は、1週間ほどでかさぶたになるが、成人では10日から2週間かかる。成人の水痘は重症化しやすく、水痘肺炎を合併する率も高いので、入院治療になることが少なくない。
妊婦の初感染の場合、妊娠早期には流産の危険性があり、中期では胎児に感染して発達障害を伴う神経障害や四肢形成不全、小頭症など先天性水痘症候群の危険性が生じる。また、妊婦が水痘肺炎を発症すると、呼吸困難を伴うなど重篤となりやすく、死に至ることもある。
▽予防には水痘ワクチン
水痘の予防には水痘ワクチンがあり、12~36カ月児は2014年から原則、無料で2回の接種が受けられるようになった。この定期接種化で、水痘患者は劇的に減った。17年12月までに報告された患者数1091人の年齢の割合を見ると、5歳未満では14年が34%、17年には11%と減少している。
それに対し、20歳以上の比率は年々上昇し、17年には全体の70%に達した。成人の割合が上昇している背景には、低い予防接種率、兄弟数の減少による感染機会の喪失、高齢者の再感染などが考えられている。
成人水痘の治療では、後に帯状疱疹が発生しないよう帯状疱疹ワクチンを接種する。「水痘に感染したことがある人は既に免疫を獲得していますが、年齢とともに弱まり帯状疱疹を発症する可能性があります。帯状疱疹の予防には、50歳以上を対象にしたワクチンがあるので、改めてワクチン接種を勧めます」と深井部長は呼び掛けている。
(メディカルトリビューン=時事)
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