治療・予防

加齢や病気によるまつげの悩み
外用薬で症状改善 かくた皮膚科クリニック 角田美英院長

 まつげが抜けて極端に不足したり、細く、短くなったりする「まつげ貧毛症」に悩む人は少なくない。症状の改善が期待できる治療法があるため、気になる人は医師に相談してほしい。かくた皮膚科クリニック(東京都世田谷区)の角田美英院長に聞いた。

まつげ貧毛症の原因と症状

 ▽見た目に影響

 強い日差しから目を保護したり、異物が入るのを防いだりする役割があるまつげ。上まぶたには平均90~160本あり、長さは8~12ミリある。上まつげ、下まつげの本数や長さには個人差がある。

 まつげ貧毛症は、加齢による変化に加え、甲状腺機能低下症円形脱毛症、抗がん剤による副作用などが原因となる。また、最近、人工のまつげを自毛に接着して豊かに見せる「まつげエクステンション」をする人が増えているが、こうした美容施術によってまつげがダメージを受けることもある。

 ▽外用薬で治療可能

 まつげ貧毛症は命に関わる病気ではないものの、見た目の印象が変わるため、深刻に悩む人も少なくない。「自分自身に魅力がないと感じ、自信をなくしてしまうなど精神的な負担が大きいのです」と角田院長。

 治療法として、2014年3月にビマトプロスト(商品名グラッシュビスタ)という医薬品が承認された。目薬のような液体の外用薬で、1日1回、専用ブラシに1滴落とし、就寝前に上まつげの生え際に塗る。主に美容皮膚科を掲げる病院やクリニックで同剤による治療を行っている。

 角田院長は「4カ月継続して塗ることで効果が見られます。当院でも40代以上の患者からの相談が多く、ビマトプロストによる治療でまつげの長さ、太さ、濃さが改善し前向きな気持ちになれたという声が多く聞かれます」と話す。

 1瓶を2カ月ほどで使い切るが、健康保険は使えず、全額自費診療で費用は約2万円。治療を中止すると元の状態に戻るため、太く長いまつげを維持するには治療を継続する必要がある。

 「国内の臨床試験では報告されていませんが、黒目の色が濃くなる虹彩色素過剰やまぶたがくぼむ眼瞼溝(がんけんこう)深化といった副作用が表れることがあります。医師の説明をよく聞いて、正しく使用してください」と角田院長。治療と並行して、マスカラを塗る場合は専用のクレンジング剤を使ってこすらずに落とすなど、日常のケアを工夫することも重要だ。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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