円形脱毛症〔えんけいだつもうしょう〕 家庭の医学

 もっとも多くみる脱毛症です。突然、頭髪が円形あるいは楕円(だえん)形に脱毛してきます。境界鮮明で、その大きさはいろいろですが、経過をみていると、まわりにひろがっていって、近くの脱毛巣が融合して大きくなることもあります。こうして全頭が脱毛してくることもあります。

 脱毛巣の皮膚の特徴はふつうの皮膚と変わりがなく、脱毛巣には一様に毛口が残っています。これは、ふたたび毛が生えてくることを示しています。皮膚に自覚症状はありません。脱毛巣のまわりの毛を軽くひっぱると、簡単に毛が抜けてくることがあります。このときは、脱毛巣がまわりにひろがる可能性があることを示しています。
 そうして、抜けてきた毛の毛根を見ると細くなっています。これが円形脱毛症の特徴です。

[原因]
 ストレスなどに伴う自律神経の失調によるとの考え方や自己免疫(じこめんえき)が原因との考えもあります。しかし、まだはっきりした原因はわかっていません。

[治療]
 セファランチンやグリチルリチンの内服で広く治療されています。これに育毛剤の外用が併用されます。難治のものには副腎皮質ステロイドの内服、外用、ドライアイス圧抵法、光線療法、免疫賦活(ふかつ)療法、精神安定薬なども必要でしょう。
 本症は治る可能性が高く、いらいらしないで気長に治療をすることが大切です。自然に治ってくるものもあります。

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