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妊娠するとホルモンバランスが変化し、虫歯や歯肉炎にかかりやすくなる。歯茎が赤く腫れてきたら「妊娠関連歯肉炎」の可能性が高い。放置して悪化すると早産や低体重児出産を招く恐れがある。歯磨きなどで口腔(こうくう)内清掃をしっかり行い、悪化しないうちに歯科治療を受けたい。
歯周病のある妊婦は歯周病のない妊婦に比べて、早産、低体重児出産をしやすい
▽歯茎や歯肉が赤く腫れる
妊娠関連歯肉炎は妊娠性歯肉炎とも呼ばれる。歯茎や歯と歯の間の歯肉が赤く腫れるなどの症状が見られる。総合南東北病院オーラルケア・ペリオセンターの和泉雄一センター長は「妊娠中に起こる歯肉炎で、発症頻度に関しては35~100%とさまざまな報告がありますが、ほとんどの妊婦で見られると考えられます。妊娠2カ月ごろに始まり、8カ月目ごろまで続き、分娩(ぶんべん)後は回復するというのが一般的な経過です」と説明する。
口腔内の清掃が不十分だと悪化する例もある。和泉センター長は「歯茎の腫れがひどくなり、出血や歯がぐらぐらする歯周炎まで進行すると、歯が抜けることもあります。出産に悪影響を及ぼす可能性もあります」と話す。歯肉炎や歯周炎を起こしている歯周病の妊婦では歯周病のない妊婦に比べて、早産のリスクが約2倍、早産かつ低体重児出産が約3倍高くなるとの報告がある。
▽歯の表面、歯間や舌の清掃を
妊婦はなぜ妊娠関連歯肉炎になりやすいのか。妊娠初期にはつわりなどの影響で歯磨きが十分できないことが多い。すると歯の周りにはプラーク(歯こう)が増えてくる。プラーク中には多くの細菌が含まれ、その中でも女性ホルモンを栄養源としている「プレボテラ・インターメディア」という歯周病の原因となる細菌が増殖しやすくなる。加えて、「女性ホルモンの増加で歯茎などの毛細血管が広がり、歯肉の腫れや出血を起こすリスクが高まります。妊娠に伴う免疫機能の低下も影響して、歯肉に炎症が起きやすくなります」と和泉センター長は指摘する。
妊娠関連歯肉炎の悪化を防ぐには歯磨きでプラークを取り除くこと。「歯の表面の清掃に加え、デンタルフロスを使って歯と歯の間の清掃や舌クリーナーを使って舌表面の清掃を行ってください」と和泉センター長。
妊娠4カ月目以降の安定期に入ったら、歯科医院を1、2回は受診し、虫歯や歯周病の検査を受け、プラークや歯石などを丁寧に除去する専門的口腔清掃を受けることが勧められる。特に、つわりがひどくて妊娠初期に口腔内清掃を十分行えなかった人は安定期に入ったら歯科医院を受診してほしい。
和泉センター長は「市区町村の妊産婦歯科健診を受けましょう。妊娠を希望する女性は、妊娠前から口腔内清掃をしっかり行うことが大切です」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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