2021/03/29 05:00
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患者さんが私たち医療者へ情報を伝える最初の手段、それが問診票です。私たちは、問診票の内容からある程度の目星を付けて、診療をスタートさせます。患者さんから得た情報によって、考えられる疾患群の範囲を絞り、必要な問診や身体診察を考えた上で適切な診察ができるのです。また、患者さんも診察前に、落ち着いて文章にまとめることで、伝え忘れを減らすことができるのです。このように両者にとって、問診票はとても大切な診療ツールとなっています。
診療のキーとなる問診票ですが、どのように書くのが適切なのでしょうか。一般的に良いとされるのは、主な症状(主訴)が端的にまとまっており、既往歴が過不足なく書いてある問診票です。
問診票には、過不足なく記載しよう
◇主訴を端的にまとめる
主訴とは、現在患者さんが最も困っていること、つまり病院を訪れている理由です。患者さんにとっては、これが最も伝えたい情報ではないでしょうか。とはいえ、私たち医療者が問診票に求めているのは、事細かな状況ではなく、だいたいの病状が把握できることです。パッと見てわかる程度の分量で、最も困っていることを書いていただければと思います。
ポイントとしては、以下の三つをできるだけシンプルに書くことです。
①いつから?(例:今朝から)
②どこが?(例:胸の中央部に)
③どのような症状?(例:締め付けられるような痛みがある)
さらに、④発症したときから今までの症状の経過(例:だんだんと痛みが強くなっている)と⑤その他一緒に起こっている症状(例:左肩も痛い)の記載もあれば完璧です。
◇既往歴を全て記載する
既往歴(かかったことのある病気)は正しい診断に至るための大事なヒントです。例えば救急外来に高血圧や脂質異常症を持つ方が来院された場合には、それらがリスク因子となる脳梗塞や心筋梗塞などの血管系の疾患を念頭に置きます。また、腹部の手術歴がある方の腹痛であれば、腸管の癒着による腸閉塞の可能性があると推察するのです。
そのため、問診票にすべて余すことなく記載していただきたいのですが、「たくさんあって、書くのが面倒くさかった」「薬でコントロールできているから必要ないと思った」「子供の頃の手術だから書かなかった」など、さまざまな理由で既往歴の書き漏れは起きています。思わぬ情報がキーポイントとなることもありますので、自己判断で削らず、なるべくすべて記載していただきたいです。
もちろん、口頭で伝えていただいても構わないのですが、患者さんにとって、限られた診察時間ですべての既往歴を過不足なく口頭で伝えることは難しいと思います。既往歴こそ、私たち医療者が最も問診票に書いてほしい最重要な情報であるといって過言ではないでしょう。
病気というつらい状況下で、このように問診票をしっかり書くのは大変だと思いますが、より良い診療ができるように、体調が許す限りご協力いただければと思います。(研修医・渡邉昂汰)
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