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児童・生徒の16%に自傷行為
コロナ禍ストレスか―成育医療センター調査

 新型コロナウイルス感染症で、それ以前とは異なる日常生活を強いられ、ストレスを感じることが多い。

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)が幼児から高校生までの児童・生徒とその保護者を対象に2020年11~12月に実施した調査では、児童・生徒の16%に毛髪を抜くなどの自傷行為があったことが報告された。保護者についても、29%が中程度以上のうつ状態 にあることが分かり、大人も子どもも追い詰められている現状が見えてきた。

児童・生徒の16%が頭髪を抜いたり、自身をたたいたりするなどしていた=国立成育医療研究センター提供

 ◇「嫌な気持ち」「イライラ」

 同センターはコロナの流行拡大以降、保護者や子どもを対象に定期的な調査をインターネットによって実施しており、これが4回目。今回は、児童・生徒や保護者の心理状態に特に力点を置いて実施した。

 今回の調査の回答者は延べ4629人で、 未就学児は保護者だけ、それ以上の年齢は当人と保護者の回答を受け付けた。このうち保護者からの回答では、男女約1400人の未就学児のうち、 支援が必要とされたのは男児で35%、女児で23%だった。また、小学校低学年の約400人の保護者からの回答では、「コロナのことを考えると嫌な気持ちになるようだ」「すぐにイライラするようだ」「最近、集中できないようだ」。こんな声が多く寄せられた。

子ども向けに紹介されているリラックス方法=国立成育医療研究センター提供

 小学生や中学・高校生への直接の質問でも、コロナのことを考えると、嫌な気持ちになったり、最近集中できなかったりするなど、保護者と同じような回答が多かった。一方、小学生4年生以上を見ると、小学生で15%、中学生で24%、高校生では30%に中等度以上のうつ症状があることが分かった。

 ◇追い詰められる子ども

 2~5歳児の保護者には、直近の半年の子どもの様子について、三つの選択肢を持つ25項目を質問。それより上の子どもの保護者には六つの選択肢を持つ10項目を質問した。また、小学校4年生以上の子どもに対しては思春期のうつ症状の重症度の尺度に基づいて、それぞれ五つの選択肢を持つ12項目を質問した。

 回答の中で注目されるのが、毛髪を抜いたり、自身をたたいたりするなどの自傷行為だ。全体の16%が「ほとんど毎日」から「(週に)数日」と回答しており、追い詰められている児童・生徒が少なくないことを示している。

  調査に当たった同センター「コロナ×こども本部」の半谷まゆみ研究員は「対面での調査や問診ではないので確定的なことは言えないが、過去3回の調査結果と同様に、非常に精神的に追い詰められた子どもたちが一定数存在する可能性が高い」と分析した上で、「子どもたちを対象にした、児童精神科医 や臨床心理士などによる組織的なカウンセリングの必要性を検討すべき段階だ」と、話している。

保護者の29%に中等度以上のうつ症状があった=国立成育医療研究センター提供

 ◇保護者も深刻

 保護者自身の精神的な状況も深刻だ。保護者に対しても、うつ症状の評価尺度を用いて、四つの選択肢を持つ9項目を質問した。対象期間は過去2週間と短いが、全保護者の29%が、回答から中等度以上のうつ症状にあると評価された。

 子どもの年齢別に見ると、未就学から小学校低学年までの保護者は程度に違いはあっても、6割以上がうつ状態にあった。個別の質問の中では、「疲れた感じがする。または眠れない」が、どの年代でも8割以上が感じている。

 半谷研究員は自由回答に関し、「『子どもと一緒にいることを、つらく感じてしまうことが増えた』『夫が育児ノイローゼになった』など、深刻な状況を伝えるものが少なくなかった。保護者が追い詰められれば、子どもへの悪影響も大きい。状況が悪化すれば、虐待につながる危険性もある」と危惧する。対策としては、子ども自身だけでなく、保護者に対してもリラックスする場や情報を提供することが求められる。このため、今回の調査報告書は末尾に、手軽にできるリラックス法を紹介している。(了)

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