治療・予防

森林浴で健康増進
五感の刺激で全身リラックス(日本医科大学付属病院リハビリテーション科 李卿医師)

 明るい森の中を歩くとすがすがしい気分になり、気持ちが落ち着いてくる。森林環境が人に与える影響を、病気の予防に役立てられないだろうかとの思いから始まったのが森林浴だ。医学的な裏付けがなされ、今や森林医学にまで発展している。森林浴の効果を検証し、自ら森林医学研究会を発足させた、日本医科大学付属病院(東京都文京区)リハビリテーション科の李卿医師は「森林浴は、ストレスを軽減させて免疫を活性化させる効果があります」と話す。

五感を使って森林浴を楽しもう

 ▽NK細胞の活性化も

 森林浴の効果は、五感を通して得られる。木々の緑や花などの景色(視覚)、フィトンチッドと呼ばれる木々が発する香り(嗅覚)、鳥の鳴き声や小川のせせらぎ(聴覚)、自然との触れ合い(触覚)、山菜や果物(味覚)などによる刺激だ。加えて、静かな雰囲気や穏やかな気候、清浄な空気といったトータルな効果が、全身をリラックスさせる。李医師は「森林浴には、がん細胞を攻撃するナチュラルキラー(NK)細胞を活性化させる効果もあります」と説明する。

 実際に李医師は、35~56歳の健康な男性12人を対象に、2泊3日の森林浴で得られる効果を調べた。すると、NK細胞の数が森林浴前に比べて森林浴後に約1.5倍となり、がん細胞を攻撃するためにNK細胞から出るタンパク質も増加、NK細胞の活性を表す数値が約1.5倍に上昇した。これらの数値は、森林浴後30日たっても、森林浴前より高く維持されていた。

 女性の場合も、同様の結果が得られた。さらに、不安な気持ちや落ち込み、疲労が改善され、アドレナリンやノルアドレナリンといったストレスホルモンの値が男女とも顕著に低下した。「血圧や血糖の改善、生活習慣病の予防にもつながります」と李医師。

 ▽目安は1日なら4時間

 森林浴の方法について李医師は「日中の明るい時間に森林を散策し、1日なら4時間、距離にして5キロを目安にするとよいでしょう」と提案する。ポイントは、体力に合わせて疲れないように散策することだ。免疫力の向上には2泊3日の森林浴が望ましいが、短時間の森林浴でもリラックス効果は得られるという。李医師が理事を務めるNPO法人森林セラピーソサエティでは、全国で65カ所を森林浴に適した森として認定している。

 李医師は「森林浴は、あくまでも病気予防を目的とするものです。定期的に行って、健康増進に役立ててください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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