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近年、ミルクや卵などのタンパク質を摂取して数時間を経てから嘔吐(おうと)や下痢などを起こす「食物蛋白(たんぱく)誘発胃腸炎」というタイプの食物アレルギーが増えている。国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)免疫アレルギー・感染研究部アレルギー研究室の森田英明室長に病態や治療について聞いた。
新生児・乳児で見られる食物蛋白誘発胃腸炎の特徴や治療
▽6時間経て下痢も
食物蛋白誘発胃腸炎は食物アレルギーの一種で、世界的に増加傾向にあることから注目されている。しかし発症メカニズムなど不明な点が多い。アレルギーの原因となる食物を摂取して2~3時間後に激しく嘔吐する、あるいは約6時間後に下痢を起こすといった経過を繰り返す点が特徴だ。また、摂取後すぐに症状が表れるわけではないため、原因が食物と分かるまで時間がかかることが多いという。
「とりわけ新生児や乳児では、ミルク(人工乳)を飲んでから2~3時間後に繰り返し嘔吐する例が多く、体重が増えないなど発育が妨げられることもあります。繰り返すようなら早めに小児科を受診してほしい」と森田室長は警鐘を鳴らす。
▽治療は原因食物の摂取中止
原因となる食物については「新生児や乳児の場合はミルクが最も多いですが、母乳や離乳食開始後だと卵、米、大豆などが原因になることもあります。最近は卵が原因でアレルギーを起こす新生児や乳児が増えている印象があります」と森田室長。母乳の場合は、母親が摂取した牛乳などの原因食物のタンパクが母乳中に移り、それによって新生児・乳児がアレルギーを起こすが、「頻度としては多くはないため過剰に恐れる必要はありません」と説明する。
卵アレルギーの場合、白身(卵白)が原因になることが多い。しかし、新生児や乳児の食物蛋白誘発胃腸炎では黄身(卵黄)が原因になることが、同センターらの研究グループによって最近明らかになった。
治療の基本は、原因食物の摂取を中止すること。ミルクが原因の場合は、治療用ミルク(加水分解乳やアミノ酸乳)に切り替え、母乳の場合は母親が原因食物の摂取を中止する。「このような対策を行えば、3歳ごろまでに7~8割の新生児・乳児が治ります」と森田室長。特にミルクや離乳食を始めたばかりの頃は、「哺乳・食後数時間まで様子を見るようにしてください」と注意を促す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/06/26 05:00)
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