治療・予防 2024/12/23 05:00
薬物療法が大きく進歩
~ぼうこうなどの尿路上皮がん(虎の門病院 三浦裕司部長)~
膝蓋(しつがい)骨亜脱臼症候群は、膝の皿と呼ばれる膝蓋骨が、定位置からずれかかっている状態(亜脱臼)で、完全にずれて脱臼に至ることもある。順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)整形外科・スポーツ診療科の池田浩准教授は「ひとたび脱臼すると繰り返し脱臼しやすく(反復性)、関節軟骨の損傷が進んでしまいます」と話す。
日ごろから筋肉アップに努めて予防したい
▽多くは先天的な素因
膝蓋骨は膝の前面にある骨で、大腿(だいたい)骨(太ももの骨)の凹面に収まっている。その凹部から膝蓋骨が外れそうになるのが膝蓋骨亜脱臼症候群だ。10代の女性に多く、スポーツをする時に膝に違和感や不安定感がある、力が入れられない、膝の周辺に痛みを感じるといった自覚症状が表れる。
多くは先天的な素因によるもので、池田医師は「生まれつき大腿骨の凹面が浅い人や、大腿骨と接する膝蓋骨の凸面があまりない人は、亜脱臼を起こしやすくなります」と説明する。
膝蓋骨と脛骨(けいこつ=すねの骨)は膝蓋靱帯でつながっている。膝蓋靱帯が脛骨に付着する部分(脛骨粗面)は、膝蓋骨の中心よりもやや外側に位置する。そのためジャンプで着地をすると、膝蓋骨は必然的に外側に引っ張られ、先天的素因があると亜脱臼を起こしやすい。女性に多いのは、男性よりも骨盤が張っていて、外側への作用が大きくなるからだ。他には、X脚や膝関節が後ろに反り返ってしまう「反張(はんちょう)膝」の人や体が柔らかい人も発症しやすいという。
▽違和感あれば受診を
診断には、X線撮影と直接膝蓋骨に触れる徒手(としゅ)検査を行う。ずれが軽度であれば、後述の筋力訓練を行い、膝に不安定感がある場合は特殊なサポーターを装着する。「膝蓋骨の多くは関節の外側へずれるため、それを防ぐサポーターを使用します」と池田医師。反復性脱臼や骨折を伴う脱臼の場合などは手術を行う。
治療と並行して行う筋力訓練は日常的な予防にもなる。「膝を軽く曲げた状態で座り、丸めたバスタオルを膝の下に置いてぐっと押しつぶすようにすると、太ももの筋肉である内側(ないそく)広筋が鍛えられ、膝蓋骨がずれにくくなります」
膝蓋骨亜脱臼症候群の段階で受診する人は少なく、脱臼してから受診するケースが目立つという。池田医師は「一度脱臼すると繰り返しやすく、骨や軟骨が剥離して関節内が痛んだり、動かしにくくなったりします。膝の違和感は放置せず、必ず整形外科で検査を受けてください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/06/27 05:00)
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