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赤紫色の紫斑が下肢の皮膚を中心に表れ、長期間消えづらくなる「慢性色素性紫斑」。主に中高年に見られる皮膚疾患で、完治は難しいとされる。歯周病、鼻と喉の間の上咽頭の炎症などが、下肢の紫斑の原因になっているケースもあるという。みらいクリニック(福岡市)の今井一彰院長に聞いた。
▽もろくなった足の血管から出血
紫斑とは赤から紫褐色のあざで、皮膚の下の出血が透けて見える状態。通常は、皮膚を強く打ったときや、内臓疾患などの一症状として表れるが、慢性色素性紫斑の場合はそのような原因がなくても足に紫斑が表れる。
毛細血管から細かい点状に出血する「点状紫斑」や、点状紫斑が輪の形になる「環状紫斑」のほか、毛細血管が拡張して皮膚の上から静脈が透け、褐色の色素沈着が起きる場合もある。紫斑が出る範囲はさまざまで、軽快と悪化を繰り返しながら慢性化する。
「見た目以外の症状はありませんが、かゆみや痛みを伴うこともあります。中年以降に頻発するため、加齢に伴い毛細血管がもろくなることが関係すると考えています」。根本的な治療法はなく、皮膚科ではステロイド外用薬のほか、ビタミンCや止血薬の内服治療が行われる。
▽口や鼻の炎症が原因に
今井院長は治療法について、「治療しても紫斑が改善しない場合、実は口や鼻、喉などに生じた慢性炎症が『原病巣』で、全身の免疫や神経機能に影響し、体の不調や病気に至ることもあります」と指摘する。
口内では歯周病や虫歯、鼻の場合は慢性副鼻腔(びくう)炎、喉では慢性扁桃(へんとう)炎や慢性上咽頭炎などが原病巣になり得るという。また、慢性色素性紫斑の患者に上咽頭炎や歯周病が見られる場合、上咽頭や歯肉から放出された炎症性物質が血流に乗って移動し、それらの部位から離れた足の血管に悪影響を及ぼす可能性もある。
今井院長が上咽頭炎を治療し、歯科で歯周病治療を行った患者では、改善に伴って紫斑が出なくなった例もあるという。「原因不明の足の紫斑が長引くときは、口や鼻、喉に異常がないかを調べ、歯科や耳鼻咽喉科の受診も考えるとよいでしょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/08/20 05:00)
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