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近年、自律神経の働きが低下し、体温調節がうまくできない子どもが増えている。原因は主に“遅寝遅起き”による生活習慣の乱れとされるが、体温調節ができないと身体的・精神的な成長にも影響があるという。早稲田大学人間科学学術院(埼玉県所沢市)の前橋明教授に聞いた。
▽登園時に36度以下
人の体温は1日の中で変動し、朝に体温が上昇し、午後3~5時にピークを迎え、夜は低下する。「体温を上げるコルチゾール、β―エンドルフィンという脳内ホルモンが明け方に分泌されます。そこに、朝の光刺激や朝食でのエネルギー補給、登園・登校などの運動がウオーミングアップとなって体温が上昇します」と前橋教授は話す。
しかし、生活習慣が崩れた子どもは、体温リズムがずれ、就寝中の低い体温で朝の活動に入る。そのため、登園時の体温が36度を下回る低体温の子どもが多い。その場合、体も脳も休息状態で午前中を過ごし、午後に体温が上昇し始める。
一方で就寝時刻になっても体温が下がらず、寝付きが悪く、睡眠時間が短い子どもも少なくない。「睡眠時間が短い子どもは集中力が養われなかったり、イライラして友達を突き飛ばしたり、じっとしていられないなどの影響が出ることが分かっています」
やがてホルモン分泌のリズムが乱れ、朝に起床できず、日中に活動できない、夜はぐっすり眠れないという生活になっていく。
睡眠には疲労回復や記憶を定着させる機能がある。睡眠時間が短い子どもは、学力や体力が低下し、情緒的なコミュニケーションが取れずに対人関係が悪化するリスクが高まる。
▽日中に外遊びを
体温変動のリズムを整えるためには、朝7時までに起床し、朝食を取り、日中に運動することが重要。特に、午後3~5時の最も体温が高い時間帯に外遊びや運動をすることが、自ら熱を作り出し、汗で熱を放散する体温調節機能を鍛える。こうした活動が、身体的な成長とともに友達との遊びを通じた情緒的な関わりとなり、精神的な成長にもつながる。
「夜は9時までに就寝を。テレビの視聴時間にルールを設け、夕食は6時台に済ませるのが理想です」と前橋教授。就寝時は電気を消して入眠しやすい環境をつくることも大切だ。「静かで安らげ、空気がきれいな暗い環境によって入眠物質のメラトニンが分泌されます。体温が下がって眠りに入りやすくなり、翌朝もすっきりと起床できます」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/10/01 05:00)
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