治療・予防 2024/11/18 05:00
筋肉の硬直やけいれん
~スティッフパーソン症候群(徳島大学病院 松井尚子准教授)~
保険診療によるニコチン依存症治療(禁煙治療)が始まって15年が経過した。標準的治療は12週間の薬物療法と5回の診察だが、昨年12月、従来の治療と併用する専用アプリが保険適用された。開発を手掛けた株式会社CureApp(東京都中央区)の代表取締役社長佐竹晃太医師に、アプリについて聞いた。
次の受診まで禁煙継続をフォローしてもらえる
▽心理面にアプローチ
患者自身がアプリを使う治療は、既に欧米では糖尿病や薬物依存、小児の精神疾患などで導入されているが、国内では禁煙治療が初めて。
患者は自分のスマートフォンにアプリをダウンロードし、処方コードを入力してログインする。処方コードは、従来の禁煙治療の条件を満たし、呼気中の一酸化炭素(CO)濃度が基準値以上であれば、希望に応じて同アプリによる禁煙治療を行っている医療機関が発行してくれる。
毎日、体調を入力し、専用のCOチェッカーでCO濃度を計測する。すると、患者の特徴や状態に合わせて治療指針やガイダンスなどのメッセージがリアルタイムでアプリに届く。同時に医師のパソコンに患者のデータが送信される。
「患者さんが自分のCO濃度を知ることで、治療を継続する動機付けになります。メッセージは医学的根拠に基づいており、これまでの禁煙治療では難しかった患者さんの心理面へのアプローチが可能になりました。医師も診療時以外の患者さんの状態が把握でき、次回の診療に活かせます」と佐竹医師は話す。
▽5割超の禁煙継続率
従来法では、12週間の治療から9カ月後の禁煙継続率は約3割だった。しかし、同アプリを用いた試験では5割を超えており、副作用は認められなかった。これを受け日本循環器学会など関連4学会による「禁煙治療のための標準手引書第8版」には、同アプリが禁煙治療の質の向上や効率性に寄与する可能性があると記載された。
佐竹医師は「禁煙治療では時に孤独な闘いを強いられますが、治療用アプリがお役に立てればと願っています」と語る。現在、同アプリは東京を中心にほぼ全国的に導入されており、最寄りの該当医療機関は専用サイトで検索できる。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/08/21 05:00)
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