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歯を支える歯周組織の炎症で歯がぐらつき、抜けてしまうこともある歯周病に肥満が関係することや悪化の仕組みが分かってきた。脂肪の取り過ぎで腸内細菌が変化し、炎症を起こす物質の産生が促進されるという。研究を担当した理化学研究所生命医科学研究センター(横浜市)の山崎和久客員主管研究員に話を聞いた。
▽マウスで細菌実験
肥満の人は歯周病が悪化しやすいことはこれまで知られていたが、メカニズムは分かっていなかった。山崎研究員らは、腸内細菌が歯周病とも関連するのではと考え、腸内細菌の構成が異なるマウスを使って実験的に歯周病を起こした。その結果、高脂肪食を食べた肥満タイプの腸内細菌を持つマウスは、普通食のマウスと比べて、歯周病が重症化していた。
「2種類のマウスの違いは腸内細菌だけなので、その変化が歯周病の悪化に関係すると言えます」と山崎研究員。ただし、腸内細菌そのものが歯周病を悪化させるのではないという。カギは細胞内のプリン体が分解されてできる尿酸で、その産生と排せつのバランスが崩れて血液中の量が多くなると、炎症を促進する。
山崎研究員らの実験では、肥満タイプの腸内細菌を持つ歯周病マウスは他のマウスよりも血液中の尿酸値が高く、肥満タイプに特徴的な腸内細菌が尿酸値の上昇に関わっていることが分かった。一方、尿酸の産生を抑える薬を投与すると、歯周病の悪化が抑えられた。
▽乳酸菌など賢く利用
これらの結果から、山崎研究員は肥満と歯周病の関係を次のように説明する。肥満を起こすような高脂肪食を取ると腸内細菌の構成が乱れる。腸内のプリン体の量が増えるなどして血液中の尿酸が増え、歯周組織にも到達して炎症を悪化させる。
その上で、「歯周病のケアの基本は歯磨きですが、悪化させないためには、食事に配慮して腸内細菌を健康に保つとよいでしょう」とアドバイスする。例えば、ヨーグルトや乳酸菌飲料、発酵食品は腸内細菌の構成を改善する。脂肪の取り過ぎを避け、適度な運動をすることも必要だという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/12/18 05:00)
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