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生まれつき皮膚が弱く、擦れたり、軽くぶつけたりしただけで水膨れができてしまう―。重症の場合、手や足の指同士がくっつき、指が使えなくなったり、歩行が困難になったりすることもある。国指定の難病の表皮水疱(すいほう)症について、北海道大学医学部(札幌市)皮膚科学の夏賀健准教授に聞いた。
▽表皮や真皮が剥がれやすい
皮膚は、外側にある表皮と、その下にある真皮の二層構造を持ち、さまざまな刺激や外力から体を守る役割を果たしている。表皮と真皮の境目には「基底膜」という薄い膜があり、「接着構造分子」と呼ばれるタンパク質が存在する。接着構造分子がのりとして働き、表皮と真皮が強く結合しているため、通常は表皮や真皮が簡単に剥がれることはない。
しかし、表皮水疱症では「遺伝子の異常で接着構造分子が生まれつき少ないか、ないために、皮膚へのわずかな刺激で表皮や真皮が剥がれ、水膨れができてしまいます」と夏賀准教授は説明する。水膨れは、手足、関節部、尻などにできることが多い。物をつかむ、寝返りを打つなどの動作でできることもあるという。
▽全身的な管理も重要
遺伝性の病気で、生まれてすぐに発見されることがほとんどだ。しかし、表皮水疱症と分かっても根本的な治療法は現在のところない。
「水膨れを高機能なガーゼで覆うなどの対症療法が中心です。正常部の皮膚から採った細胞を、シート状に増やして移植する治療法は健康保険で受けられます。しかし、病型や技術面で制限があり、広く行われている状況ではありません」。夏賀准教授らは最近、毛の細胞が水膨れを修復するという研究成果を発表した。毛の細胞を移植する治療法などの開発が期待される。
また、重症例では合併症も問題になる。「水膨れを繰り返すうちに、その部位に感染や皮膚がんが起こることがあり、注意が必要です。また、口の中や食道にも病変が生じ、食事ができなくなり、栄養不良や貧血に至ることもあります。皮膚だけでなく全身的な管理も重要です」
夏賀准教授は「表皮水疱症は感染しません。この点も含め、この病気の存在を広く知ってもらいたい」と話す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/12/24 05:00)
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