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台風や地震などで大きな被害を受けると、被災住民の支援に当たる行政職員も強いストレスにさらされ、心身に不調を来すことも少なくない。東日本大震災で被災者の心理・社会的支援活動を行い、行政職員のメンタルヘルス(心の健康)について調査した東北大大学院(仙台市)教育学研究科臨床心理学の若島孔文教授に聞いた。
被災3~4カ月後の石巻市職員におけるメンタルヘルス不調の有無
▽石巻市で調査
「被災地では消防や警察、自衛隊、医療従事者などが重要な役割を担っているのはもちろんですが、行政職員も被災者支援に大きく貢献しています」と若島教授。「あまり注目されませんが、自らも家族が行方不明になったり、自宅が崩壊したりといった被害に遭いながら、地域住民の生活を守るために公務に励んでいるのです」
被災住民からのさまざまな要望に対応しなければならない「精神的・肉体的ストレスは非常に大きく、メンタルヘルス不調を起こしやすい状況にあります」。若島教授らが東日本大震災の3~4カ月後に、宮城県石巻市の行政職員1446人を調べたところ、27%の人のメンタルヘルスに問題があったという。
▽四つのリスク
どのような状況だとメンタルヘルス不調に陥りやすいのか。若島教授は「行政職員の調査から『職場での不十分なコミュニケーション』『不十分な休息』『家族の行方不明や死の経験』『自宅外での生活の経験』という四つがリスク因子になると考えられます。中でも、職場でのコミュニケーションの影響が大きいようです」と説明する。
この結果から、メンタルヘルス不調の対策として、管理職は部署ごとの業務量を状況に応じて調整し、期限を切って担当させるなどの工夫が望まれる。また、「職員間の会話が減ったり、表情や声の抑揚が乏しくなったりしたらメンタルヘルス不調のサイン。積極的に声掛けするなど、コミュニケーションに努めていただきたいです」とアドバイスする。
不調からの回復について、若島教授は「リスク因子がある人もない人も、被災の約1年後までに大幅に改善し、約3年後には被災前のレベルに近づくというデータがあります。時間とともに回復すると言えそうです」と話す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/12/25 05:00)
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