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医療の終末期に備えて、患者が自ら治療やケアの方針を医師らと話し合う「人生会議」が広がりつつある。厚生労働省が進めるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)という手法で、「超高齢社会における日本の終末期医療の課題が見えてきました」と話すセントラル総合クリニック(茨城県牛久市)総合診療科の細井崇弘医師に詳しく聞いた。
考えが変わることも。人生会議は繰り返しが大事
▽7割意思決定できず
人生会議は、終末期に意思決定能力が低下する前に、患者自らが医療やケアについて医療従事者、家族らと話し合って今後の方針を決定できる点に意味がある。ACPとも呼ばれるこの手法は厚労省が2018年から啓発に取り組み、各地で医療従事者向けに「(患者)本人の意向を尊重した意思決定のための研修会」が開かれているという。
この研修会や市民向け公開講座で講師を務める細井医師は「約7割の患者は終末期に意思決定ができないとされています。自分が大切にしていること、終末期に受けたい医療・ケアについて、あらかじめ家族や主治医などに伝えておくことで、自分が望むより良い時間を過ごせます」とその重要性を説く。
▽繰り返し話し合う
細井医師はこれまでに多くの人生会議に立ち会ってきた。肺がんで余命1~2カ月と宣告された60代の男性は「残された時間を家族と過ごし、自宅で最期を迎えたい」との意思を伝えた。心不全で入退院を繰り返した80代の男性は「管につながれるような治療はせず、自然に逝きたい」と話した。いずれも人生会議を通して本人の希望がかなえられたという。
海外の研究では、人生会議を行うと、行わなかった場合と比較して患者の意向がより尊重された医療やケアが施され、患者と家族の満足度が向上することが示された。家族の不安や抑うつも和らいだという。
人生会議はいつ始めればいいのか。「タイミングは難しいですが、健康な時から少しずつ行うことが重要です」と細井医師。「家族や信頼できる人に自分の大切にしたい価値観や希望などを伝え、終末期が近づいてきたら医療従事者も交えて話し合うことをお勧めします。患者の考えが変わることもあるので、人生会議は繰り返し行うことも大事です」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/02/06 05:00)
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