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こうしたい「人生の最期」
患者が医師に相談―内科医会アンケートから

日本臨床内科医会アンケートより

日本臨床内科医会アンケートより

 超高齢化社会に入り、QOL(生活の質)とともに、患者やその家族らが望む人生の最期を迎えられるかという課題の重要性が増している。日本臨床内科医会が会員を対象に実施したアンケート調査によると、患者側から人生の最期について相談を受けたケースが9割を超えた。さらに、かかりつけ医が患者や家族と終末期を含めた治療方針を事前に話し合うことが必要とする回答が、100%近くに達した。

 アンケートではまず、「外来で、患者から『人生の最期をどうしたらよいか』相談されたことがあるか」を尋ねた。「よくある」17%、「時々ある」36%、「少しある」14%、「まれだがある」24%で合わせて91%に上った。「ない」は9%にとどまった。

 かかりつけ医として患者から相談を受けたときにどう対応するか。「積極的に相談にのる」29%、「前向きに相談にのる」44%で両者の合計は73%。「相談にのる」19%、「消極的だが相談にのる」7%。「なるべく、のりたくない」は1%にすぎなかった。

 ◇事前に決める「ACP」

 超高齢化社会は「多死社会」だ。厚生労働省と日本医師会は人生の最終段階の医療を患者や家族と話し合うことを推奨しようとしている。カギとなるのは、患者や家族が医療、介護関係者らと共に終末期を含めた治療方針についてあらかじめ決めておく「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」だ。

日本臨床内科医会アンケートより

日本臨床内科医会アンケートより

 ACPという言葉を知っているかを聞いたところ、「聞いたことはある」も含め、88%が「知っている」と回答。「かかりつけ医としてACP活動は必要と思うか」という質問に関しては、「大いに思う」「思う」「少しは思う」を合計し、97%に達した。「あまり思わない」1%、「まったく思わない」は1%だった。

 こうした調査結果の背景には、臨床医にとって「避けられない問題」との思いがあるようだ。ACPに関する自由回答から幾つか意見を紹介すると―。

 「かかりつけ医にとっては、患者といかに寄り添うか、その家族といかに寄り添うかが、大切だと思う。ACPは大いに必要だ」

 「訪問診療をしていて、認知症などで本人の意思確認ができず、介護者間での意見がまとまらない。延命処置をどうするかでしばしば苦慮することがある。患者が元気なうちからのACPが必要だ」

 ◇国挙げて推進を

 今後、臨床内科医会がACP活動に取り組むことへの反応(自由回答)はどうか。「良いことだ」「賛成する」「どんどん進めてほしい」「素晴らしいこと」などの肯定的な意見が目立つ。

日本臨床内科医会アンケートより

日本臨床内科医会アンケートより

 「多死社会を迎えるときに国の押し付けではなく、国民全体としてACPが必要であるというコンセンサスづくりをすべきだ」「国を挙げてACP活動を精力的に行うべきだ。今も行われているが、一層の充実が急務だ」などと、積極的な推進を求める声があった。

 一方で、「末期がんや難病の患者以外に医師がACPに積極的に関与できるのか」「家族と話し合いの場を持つ時間が足りない」といった疑問や、「医師、看護師、医療ソーシャルワーカーに加え、場合によっては今まで確立していない弁護士との連携も必要になる」「分かりやすい患者向けのパンフレットや本があるとよい」などの意見も寄せられた。(鈴木豊)


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