治療・予防

アトピーと目の合併症
~定期的な眼科受診を(藤田医科大学ばんたね病院総合アレルギー科・総合アレルギーセンター 矢上晶子教授)~

 アトピー性皮膚炎の合併症にアレルギー性結膜炎が多いことは知られているが、その他の目の疾患も起こり得る。藤田医科大学ばんたね病院(名古屋市)総合アレルギー科・総合アレルギーセンターの矢上晶子教授に聞いた。

アトピー性皮膚炎の治療を受けることが大事

 ▽白内障が1~3割

 矢上教授は「アレルギー性結膜炎や目の周りの皮膚に湿疹かゆみがあると、特に未成年の場合、目の辺りをこすったり、たたいたりすることが多くなります。それを繰り返すうちに目に傷ができ、さまざまな眼病変を招くきっかけになります」と説明する。

 「目の表面の角膜が傷つくと、角膜がただれる、濁るなどの異常が生じます。角膜が部分的に薄くなる『円すい角膜』に進んだり、さらに白内障や網膜剥離を起こしたりすることもあります」。白内障は1~3割、網膜剥離は1~8%の割合でアトピー性皮膚炎に合併すると報告されているという。

 また、緑内障を起こす場合もある。「目の周りの皮膚へのステロイド外用薬や目の炎症を抑えるステロイド点眼薬を長く使用している人は、緑内障のリスクが高くなります」と矢上教授。

 「逆に、ステロイドによる副作用を心配してまぶた周囲の湿疹の治療を行わないと、湿疹かゆみが続き、長期間かいたりたたいたりすると、手術が必要な白内障や網膜剥離になってしまうこともあります」

 ▽皮膚の治療・ケアを

 「アトピー性皮膚炎の患者さんの5~7割に何らかの目の合併症があると考えます。起きたら、眼科で早期に治療を受けてください。放置したり、不適切な民間療法を行ったりしているうちに進行し、失明する人もいます」と矢上教授。

 「目の症状は、早期だと気付かないことがあります。視力低下などの自覚症状がなくても、眼科を定期的に受診し、合併症がないかをチェックしてもらってください」

 その上で矢上教授は「目の合併症を予防するためにも、アトピー性皮膚炎に対する治療を適切に受けることが非常に重要です」と訴える。

 症状によって、ステロイド外用薬や非ステロイド外用薬をうまく使い分けた治療が望まれる。「未成年の場合は、スキンケアをきちんと行えるよう、家族の協力が必要です。信頼できる医療情報を得ることも大切です」と話す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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