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午後の作業を再開した途端、睡魔に襲われ舟をこぐ―。そんな昼下がりの眠気対策に「パワーナップ(積極的仮眠)」が効果的という。短時間の仮眠で活力を取り戻し、その後の作業を活動的に行えるパワーナップについて、広島大学大学院人間社会科学研究科(広島県東広島市)の林光緒教授に聞いた。
パワーナップを上手に活用して
▽20分以内が目安
「昼食を取った影響だけでなく、人は起きている時間(覚醒時間)の真ん中あたりに眠くなることが分かっています」と林教授は説明する。朝6時起床、夜11時就寝の人なら、午後2時半前後に眠気を感じるという。
イタリアの研究では居眠り運転による自動車事故は午後1~3時に多発している。一方、林教授のグループが行った研究では、午後に休憩のみを取ったグループに比べ仮眠を取ったグループでは眠気が消え、課題の正答数が向上していた。
ただ、眠気を感じてすぐに仮眠を取ることは現実的ではない。そこで、林教授が勧めるのが、昼休みを利用した20分以内の仮眠(パワーナップ)だ。睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があり、ノンレム睡眠にはさらに〔1〕~〔4〕(浅い→深い)の4段階がある。
「〔1〕はウトウトする状態で5~6分ほど続きます。〔2〕は意識がなくなり、浅い眠りが約7~8分持続しますが、3分程度でも眠気からの回復効果が期待できます。寝付くまでの数分を考慮し、15~20分以内の仮眠を取るとよいでしょう」
仮眠の回復効果は数時間持続する。夜間睡眠に影響を及ぼさないよう午後3時ごろまでに取り、〔3〕以降の深い睡眠に入る前に目覚めることがポイントだ。入眠までの時間がより長い高齢者では、仮眠時間は30分以内が目安という。
▽夜間睡眠の見直しを
パワーナップを活用するコツとしては、仮眠前にカフェイン飲料(コーヒー、紅茶、日本茶)を飲むことを推奨する。「カフェインは摂取後20~30分で血中濃度が最高に達します。起きるころに覚醒効果が表れ、より快適に目覚められるでしょう」
また、頭がふらつくと眠りが妨げられ、横になると深く寝入って起きられなくなる場合があるため、椅子に座り机に顔を伏せたり、背もたれや壁などに頭をもたれかけたりするなど、頭を固定させた姿勢がよい。好きな音楽も心地よい目覚めを促す。そして、「20分後に起きる」と言い聞かせ、時間になったらすぐ起きることが重要だ。
ただし、最も大切なのは夜間睡眠だ。「夜間睡眠の取り方を見直し、その上で必要に応じてパワーナップを活用しましょう」と林教授はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/04/16 05:00)
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