治療・予防

肌老化で起こる脂漏性角化症
~紫外線対策とビタミン摂取で予防(日本赤十字社さいたま赤十字病院皮膚科 三石剛部長)~

 脂漏性角化症は、薄いシミから盛り上がってできるいぼで、老人性疣贅(ゆうぜい)とも呼ばれる。皮膚がんを心配する人も少なくないが、肌の老化現象の一つだ。日本赤十字社さいたま赤十字病院(さいたま市)皮膚科の三石剛部長は「治療の対象ではありませんが、見た目が気になる場合は取ることも可能です」と話す。

肌の老化現象の一つで、皮膚がんの心配はない

 ▽原因は紫外線と加齢

 脂漏性角化症は、大きさが数ミリから2~3センチほどで、茶色から茶褐色、やや盛り上がっている。中年以降から増え、顔や手、首、頭などに多発する。

 原因は紫外線と加齢だ。三石部長は「表皮で作られたメラニン色素は、若い頃には早いサイクルで表面に押し出されて剥がれ落ちますが、加齢とともにサイクルが長くなり、蓄積されてシミ(老人性色素斑)になります。脂漏性角化症はこの染みから盛り上がってできます」と説明する。

 ひげをそる時や髪をとかす時に当たって気になることがある。頭皮にできたものを、美容師に指摘され受診する人もいる。「皮膚がんを心配する人が多いのですが、がんにはなりません」

 ただ、ウイルス性のいぼ(尋常性疣贅)や、褐色の小さないぼ(軟性線維腫)と見分けがつきにくい場合がある。「軟性線維腫との混在もよく見かけるので、見分けがつきにくい場合は検査します」

 ▽希望すれば切除も

 検査では、ダーモスコピーという拡大鏡で皮膚を診る。初期は縁がギザギザの指紋のように見え、次第に全体に茶色の筋が並ぶように見えたり、メロンの皮のように見えたりする。他の疾患との区別が難しい場合は、組織を採取して顕微鏡で調べる皮膚生検を行う。

 治療は特に必要がない。見た目が気になる場合は、液体窒素を使う凍結療法や、炭酸ガスレーザーで取る。ごく小さなものや当日切除の場合は、炭酸ガスレーザーを使用するが、部分麻酔が必要で自費治療となる。「凍結療法は保険適用で、麻酔は不要です。1~2週間置きに何回か液体窒素を患部に当てると、次第にかさぶた状になりポロッと取れます」と三石部長。

 予防はシミを作らないことで、普段から紫外線対策が必要だ。三石部長は「抗酸化作用のあるビタミンCやEが豊富な食品を積極的に取ってください。外出時は日焼け止めを塗る習慣をつけましょう。紫外線防止効果を示すSPF50と記載されているものを選んでください。日傘や帽子も併用しましょう」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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